イギリスで“5億ポンドをトークン化する”不動産プロジェクトが開始
2019年10月30日(現地時間)にブロックチェーンスタートアップ企業である、tZEROとTezos Foundation(テゾスファウンデーション)は、5億ポンド(約6億4300万ドル、約700億円)をトークン化する不動産開発プロジェクトを推進するため業務提携を発表した。今回のSTO案件は、イギリスを拠点とする投資会社アライアンス・インベストメントが融資した金額の一部をセキュリティトークンとして販売するものであり、イギリス・マンチェスターで開発が進められている。
また、ウォーターフロント(海岸通りの土地)の開発を対象に使われ、最初のセキュリティトークン発行時期として2020年の第一四半期が予定されている。アライアンス・インベストメントのCEOであるRani Zahr氏は声明で以下のように発言している。
「STO(セキュリティ・トークン・オファリング)を通じた資金調達は、従来の資金調達よりも効率的で費用対効果に優れ、自律的で民主的。我々は、現行の資金調達パラダイムを創造的破壊し得る技術変化の最前線に立っていると考えている」
STOとは?
STOとはSecurity Token Offeringの略称で、ブロックチェーン上で発行されるトークン化された従来の金融商品のようなものである。トークンを用いた資金調達方法は様々な形式のものが存在しますが代表的ば資金調達方法は下記のようなものが存在する。
- ICO・・Initial Coin Offeringの略称で資金力のない未上場の会社が独自トークンをERC20規格に沿って発行できる仕組み。
- IEO・・Initial Exchange Offeringの略称で資金調達を実施したい企業のプロジェクトを取引所が精査して選ばれたプロジェクトのトークン販売を取引所が仲介して行う仕組み。
2017年のICO全盛期に数々の企業がトークン発行に身を乗り出したものの、多くの案件はスキャム案件といった中身のないプロジェクトばかりであった。このような背景からIEOやTGEといったような第三者機関が投資家と発行元の間に入り、プロジェクトの信頼性をしっかりと精査したうえで上場していく流れが主流となっている。
しかし、STOには投資契約の効力がついており、証券や不動産投資信託といったような金融商品に取って代わる可能性がある。建物の登記情報は全てブロックチェーン上で管理され、土地契約に関する書類のやり取りをスマートコントラクトで自動化すれば、業務効率改善だけでなく、マイクロペイメントによる不動産の分割購入(フロアや一室単位での購入など)従来では、なし得なかった新たな取引を可能なものとする。
現在は、各国の金融法によりセキュリティトークンを扱う事ができない国も存在するため、IEOほど普及はしていないようだが、今後の金融法改正により間違いなくSTO案件のユースケースが増えてくることになるだろう。