ジェミニがIPO申請を公開、ナスダックでGEMI上場へ
仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)は、ナスダックへの上場を目指してIPO申請書を公開した。
ティッカーシンボルは「GEMI」。収益の減少と損失の拡大が続く中での上場挑戦で、コインベース(Coinbase)やブリッシュ(Bullish)に続く動きとして注目されている。
申請書によれば、2025年上半期の総収益は6,860万ドル(約101億円)、純損失は2億8,250万ドル(約416億円)。前年同期は収益7,430万ドル(約109.5億円)、純損失4,140万ドル(約61億円)で、損失規模は大きく拡大した。調整後EBITDA(企業価値評価指標)も前年から悪化している。
ジェミニは、上場で得た資金を一般的な事業目的および第三者債務の返済に充てる方針を示している。主幹事にはゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とシティグループ(Citi Group)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)などが関与する。IPOの規模や価格帯は現時点で未公表だ。
事業規模
同社は60カ国以上でサービスを展開し、認証済みユーザーは1,460万人、運用資産は120億ドル(約1.76兆円)。主要収益源は取引手数料で、Earnプログラムやステーキングが補完している。
組織再編とグローバル展開
ジェミニは、運営の効率化と機能分担を目的に、ニューヨーク拠点の「Gemini Trust」とフロリダ拠点の「Moonbase」による二重体制を導入する計画を示した。体制の詳細は公開申請書および公式ドキュメントで確認できる。
欧州市場では、ナイキ、マクドナルド、ウーバー、アドビなどの米国株をトークン化し、24時間取引可能な形で提供している。各資産は実株式に1対1で裏付けられ、Dinariと連携したデジタル・デリバティブとして、Arbitrumなどのブロックチェーンを通じて取引できる。
Rippleとの信用枠契約とステーブルコイン戦略
IPOに先立ち、ジェミニはリップル(Ripple)と回転信用契約を締結した。
初期コミットメントは7,500万ドル(約110億円)で、条件に応じて最大1億5,000万ドル(約220億円)まで拡大できる。すべて担保付きで、借入条件により年6.5%または8.5%の金利が適用され、一定条件下では、ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」での資金供給も選択肢に含まれる。
ステーブルコイン活用の広がり
RLUSDはXRP Ledger(XRPL)とイーサリアム(Ethereum/ETH)で利用可能。信用枠に組み込まれることで、機関投資家の利用機会が広がり、流動性の強化が見込まれる。ジェミニは自社でも「GUSD」を発行しており、上場に向けた取り組みと合わせてステーブルコイン分野の展開を拡張している。