宇宙ステーションへ「仮想通貨ウォレット」が打ち上げ

宇宙ステーションへ「仮想通貨ウォレット」が打ち上げ

SpaceChainが開発した仮想通貨ウォレットを搭載したロケットが、国際宇宙ステーション(以下:ISS)に向かい打ち上げられた。SpaceChainは2017年に立ち上げられたプロジェクトで、宇宙空間を活用したブロックチェーンシステムの開発を手がけている。

今回打ち上げられたロケットは、テスラのイーロン・マスク氏が率いるSpace Xというプロエジェクトの「Falcon 9」だ。宇宙空間はいずれの国においても管轄外となり、集約型地上サーバーと違い物理的なハッキングも不可能な強固なシステムが構築されるとSpaceChain側はメリットを述べている。

3回目の打ち上げ成功へ

SpaceChainはこれまでにも2度の打ち上げに成功している。すでに2つのブロックチェーンノードが宇宙空間に存在している状態だ。今回は米国となるが、過去に行われた打ち上げはいずれも中国からとなっている。SpaceChainのCEO兼共同設立者であるZee Zheng氏によると、打ち上げられたノードは約1年間ISSのデータフィードを介してマルチ署名のトランザクションを保護するとのこと。

Zheng氏はこの打ち上げのために、「会社のリソースのほとんどを投じました」と述べたものの、具体的にいくらのコストが発生したのかについては言及しなかった。また、今後18ヶ月間の間にさらにプロジェクトを拡張させていく方針も示している。打ち上げの際にはSpaceChainのチームメンバーのうち半数以上が、フロリダでそれを見守っていたことも明かしている。

宇宙でのDApps利用を目指すSpaceChain

SpaceChainは衛星システムを活用し、宇宙におけるブロックチェーンの利用を目指している。将来的には、ユーザーが宇宙空間にてDApps(分散型アプリケーション)を利用できるようにすると述べている。独自開発した「SpaceChainOS」はQtumのネットワークと統合されており、宇宙船に搭載することが可能だ。今後はイーサリアムとの統合も目指しているとのこと。SpaceChainは今年9月、欧州宇宙機関(ESA)が手がけるファンド「キックスタート・アクティビティ」から6万ユーロの補助金も受けている。プロジェクトが成功するに連れて、ESAからのさらなる出資も期待できそうだ。