NY司法当局、テザー社の不正利用について説明
ニューヨーク州司法当局(NYAG)は今月4日、最高裁判所にテザーの不正利用に関連した文書を提出した。提出された74ページにも及ぶ文書には、テザーや兄弟会社にあたるビットフィネックスに対する批判が記載されている。NYAGのレティシア・ジェームズ司法長官は文書の中で、テザーやビットフィネックスがNYAGの調査を中止させようとしとたして強く非難している。加えて、ビットフィネックスとテザーが調査を逃れるために必要な資料を作成していないとも指摘した。
NYAGが調査しているのは、ビットフィネックスが関連会社であるCrypto Capitalに対して、8億5,000万ドル相当のテザーを不正に譲渡した後に、テザーがビットフィネックスに対して約7億ドルの不正融資を行ったとされる問題だ。NYAGはテザーの資産の裏付けがないことを、2019年3月までに顧客に対して通知していなかったと点も指摘している。タイムリーに開示することなく、違法な融資によってビットフィネックスの流動性問題を解決しようとしたと主張している。また、米国の仮想通貨の規制状況は未だ明確に定まっていないが、それでも仮想通貨に分類される商品は米国の規制下にあるとして、管轄権を主張している。
一方で、テザーとビットフィネックスは今月13日、テザーは証券に該当しないことからNYAGに調査の権利がないと反論している。ビットフィネックスは英国領バージン諸島に法人登記されている。
親会社が同じテザーとビットフィネックス
テザーとビットフィネックスはiFinexという同じ親会社となっている。テザーは米ドルと価値が連動するいわゆるステーブルコインであり、現時点で40億ドル以上のテザーが市場で流通している。コインマーケットキャップのデータによれば、テザーの1日あたりの取引量はビットコインよりも多い。現時点では、市場の中で最も取引されている仮想通貨となっている。
不正疑惑や悪い噂が尽きないテザーだが、こうした流通量の多さからアービトラージ(裁定取引)やボラティリティのリスク回避として人気が高い。また、ここ最近ではテザーの価格操作に関する疑惑に対して、米Circle社の元OTC取引担当Dan Matuszewski氏が、テザーによるアービトラージによってビットコイン価格が上昇したとして、疑惑を否定する見解を示している。