テザー(Tether/ USDT)ステーブルコインが71%にまで優位性を拡大

テザーステーブルコインが71%にまで優位性を拡大

テザー(Tether/ USDT)ステーブルコインの発行者であるテザー社は、2023年にその優位性を確固たるものにし、市場シェアを71%にまで拡大させたことが分かった。

爆発的な成長には、恐ろしい底流が伴う。その根拠に、当NEXTMONEYの2024年1月16日付特集記事「国連、東南アジア全域でUSDTがマネーロンダリングに使用されていると報告」でも報じているように、USDTを東南アジアにおけるサイバー犯罪とマネーロンダリングの急増に結び付ける国連の報告書の存在がある。

オンチェーンマーケットインテリジェンスのGlassnode(グラスノード)によるデータは、テザー上昇の様子をはっきりと示している。過去1年間でUSDT供給量が40%増加したことにより、同社の時価総額は2024年1月に過去最高の950億ドル(約14庁円)に達している。一方で、Circle(サークル)のUSDコイン(USDCoin/USDC)などの競合他社は市場シェアが縮小し、テザー(Tether/USDT)は現在、最も近い競合他社の7倍以上の発行部数を誇っている。

テザー市場の優位性が急上昇

テザーのパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)新CEO(最高経営責任者)は、米国の法執行機関との協力を優先している。

同社は、制裁リストに関連するウォレットを凍結し、4億3,500万ドル(約641億円)以上の違法資金を回収。しかし、国連の報告書はこうした取り組みに影を落としており、USDTがアジア全域で“豚解体詐欺”や地下銀行取引をどのように促進しているかを詳述している。

テザーは犯罪行為に関連する1,260以上のアドレスを積極的に禁止しているが、違法取引の膨大な量により、これらの措置の有効性について懸念が生じている。批評家はテザーの不透明な準備金が悪用の温床になっていると指摘し、マネーロンダリング(資金洗浄)と戦うための透明性の向上を求めている。

テザーの統治はリスクにさらされている

テザーの優位性は否定できないが、犯罪行為との関連は信頼を損ない、より厳格な規制を引き起こす恐れがある。71%の市場シェアは、ステーブルコイン領域における支配力を否定できないものの、違法行為の影がその成功を覆い隠す恐れがある。

規制当局が焦点を絞り、Circleのような競合他社がリングに上がるにつれ、テザーは大掃除をしてその王座を維持するのか、それともこれがステーブルコイン革命の転換点となり、仮想通貨自体の未来を再形成するのかという疑問が浮上している。

テザーの優位性がデジタル通貨の輝かしい新時代の到来を告げるものなのか、それともより透明性と責任ある暗号通貨の世界への道を開く警告として機能するのかは、時間が経てばいずれあきらかとなる。現在、ステーブルコインの将来を賭けた戦いは始まったばかりです。

国連、東南アジア全域でUSDTがマネーロンダリングに使用されていると報告

2024.01.16

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