国連が東南アジア全域でUSDTがマネーロンダリングに使用されていると報告
2024年1月15日(月曜日)に発表された国連報告書は、テザー(Tether/USDT)が東南アジアでマネーロンダリング(資金洗浄)や詐欺の目立つ支払い方法になっていることを示唆したことが大手メディアフィナンシャル・タイムズの報道によって明らかになった。
USDTステーブルコインは、東南アジアでマネーロンダリングと詐欺のための顕著な支払い方法の一つとなっていると国連は15日の報告書で警告。同報告書はフィナンシャルタイムズ紙に対して次のように語っている。
オンラインギャンブルプラットフォーム、特に違法に運営されているプラットフォームは、仮想通貨ベースのマネーロンダリング、特に、テザーを使用する者にとって最も人気のある手段の一つとして浮上している。
国連はアンダーグラウンド詐欺に広く使われていることを示唆
国連(United Nations:国際連合)はまた、世界で最も人気のあるステーブルコインが、“豚の屠殺”として知られるロマンス詐欺など、アンダーグラウンドの詐欺に広く使われていることを示唆したと報じている。
これは驚きではないかもしれない。2023年11月にテザーは、DOJ(米国司法省)を支援し、豚の屠殺詐欺を担当した東南アジアの国際的な人身売買グループにリンクされた外部の自己保管ウォレットにある約2億2,500万ドル(約328.9億円)に相当するUSDTを凍結している。
同報告書はさらに、法執行機関が近年、不正なテザー資金の送金に関与する複数のマネーロンダリングネットワークをいかに破壊してきたかを指摘している。2023年12月、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEO(最高経営責任者)は、米国議員に公開した書簡の中で、同社のプラットフォームに米国シークレットサービスと連邦捜査局を取り込んだと主張。国連地域代表のジェレミー・ダグラス(Jeremy Douglas)は次のようにコメントしている。
組織犯罪は、新しいテクノロジーを使って並列銀行システムを効果的に作り上げており、規制が緩い、あるいはまったく規制されていないオンラインカジノと仮想通貨の普及が、この地域の犯罪エコシステムを加速させている。
国連は東南アジアの政府に対して国際人権に沿った全体的アプローチを要求
この報告書は、USDTが東南アジアの犯罪組織で使用されつつあることを警告した最初の国連文書ではなく、2023年8月、国連はこの地域で何十万人もの人々が組織化された犯罪組織によって人身売買され、仮想通貨詐欺やオンライン詐欺を実行させられていることを詳述している。
これらのオンライン詐欺は仮想通貨、特にUSDTに大きく依存しており、ギャングはステーブルコインと引き換えに奴隷を売っていると報告されている。国連は調査結果の一部として、東南アジアの政府に対して人権への対応を実施。銀行や仮想通貨取引所に対して、人身売買業者が不正な仮想通貨を不換紙幣に変換するのを阻止するために、国際人権に沿って協力する全体的なアプローチを採用するよう求めている。