中国の各都市で春節期間中にデジタル人民元決済を導入へ

中国がCBDCデジタル人民元の取り組みを継続

中国当局は、深セン、済南(さいなん)、連雲港(れんうんこう)、杭州(こうしゅう)の住民に対し、2,600万ドル(約34.3億円)相当のデジタル人民元(e-CNY)を配布した事が分かった。

現地メディアの報道によると、中国の地方政府は複数の都市で2,650万ドル(1億8000万元)を超える額のデジタル人民元の活動を開始させ、春節期間中の使用を促進。人口約 1,300 万人の中国南部の都市深せんの当局は、国内のケータリング部門を支援するため、デジタル人民元1,470万ドル(約19.4億円)を配布。さらに東部の済南、連雲港、杭州ではデジタル人民元クーポンが導入され、住民は春節休暇期間中、デジタル人民元で商品を購入できるようになったとのこと。中でも杭州市民がデジタル人民元に高い関心を寄せており、提供されたすべての資金を10秒未満で使い果たしたケースもみられたとのこと。

商業機関もプロモーションに参加しており、消費者がスーパーマーケットや公共交通機関、観光での請求書をデジタル人民元で支払えるという。CBDCの採用を後押しする中国の取り組みは、昨年主要都市で実施されており、実施エリアに住む住民は2021年の初めに460万ドル(約6億円)相当を受け取り、後者は数カ月後に620万ドルを受け取ったとのこと。

独身の日におけるデジタル元払いとCBDCの拡大

中国最大のeコマースプラットフォームの1つであるJD.comでは、2021年11月の独身の日ショッピング フェスティバルで、クライアントがe-CNYで請求書を決済できるようになり、10万人以上がこのサービスを利用したとのこと。

独身の日は、恋愛関係にない人を称える非公式の中国の祝日で、全国で最も忙しいショッピングデーとして世界的にも知られている。しかし、一方で中国では、仮想通貨の取り扱いが禁止されており、その関心が現在国内におけるCBDCへの関心へと向けられている。中国政府は、北京で開催された2022年冬季オリンピックでデジタル人民元の使用を許可しており、オリンピック出場選手と観戦者は期間中、毎日30万ドル(約4,000万円)相当のデジタル人民元を使用していたとのこと。

このイニシアチブは以前、中国と米国という2大経済大国間の緊張を引き起こしており、上院議員らは、米国オリンピック委員会に対してスパイ行為を懸念してデジタル人民元の使用を禁止するよう強く求めていた。