高級車ブランドランボルギーニがWeb3に本格参入
イタリアの高級自動車メーカー、ランボルギーニは、メタバース向けに新型GT3スポーツカー「テメラリオ(Temerario)」を発表した。
仮想世界「Wilder World(ワイルダーワールド)」と提携し、Web3領域での存在感を強めている。
バーチャルGT3カーとして登場するテメラリオ
テメラリオは、Wilder Worldの仮想空間で展開される新型スポーツカーで、ランボルギーニとWilder Worldのチームが連携して開発された。高精細な3D描写により、現実に近い体験をユーザーに提供することを目指している。
この車両はNFTとしてWilder World上で展開され、ユーザーはデジタル所有権を持ち、仮想空間内で走行できる。公道走行可能なモデルのデジタル版590台とGT3モデル10台が用意され、7月11日(金曜日)から1台あたり300ドル(約44,000円)で販売される予定だ。
販売はWilder World、OpenSea、そしてランボルギーニのWeb3プラットフォーム「Fast ForWorld」などで行われる。
Fast ForWorldとGravitaslabsの取り組み
Fast ForWorldはランボルギーニ独自のWeb3エンゲージメントプラットフォームであり、Gravitaslabsの支援を受けて構築された。ゲームやデジタル体験を通じて、ユーザーとブランドの新たな関係性を築くことを目指している。
Web3を通じたブランド戦略の強化
今回の取り組みは、単なる車両のデジタル化ではなく、ブランド価値の拡張戦略の一環とされている。
ランボルギーニは2024年8月、香港拠点のWeb3企業Animoca Brands(アニモカ ブランズ)と提携し、コレクター向けのデジタル体験の提供を開始していた。
また、テメラリオとそのGT3モデルは、7月11日に英国で開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で実車が初公開された後、Wilder Worldのゲーム内で限定デジタルコレクタブルとして登場する。
このコレクションは、Animoca BrandsのMotorverseと連携してユニバーサルデジタルアセット(UDA)として設計され、他の仮想世界やWeb3アプリ、既存のゲームでも利用可能になる。
Wilder World共同創設者のn3o氏は「Fast ForWorldを多次元的なブランド体験へと進化させ、ランボルギーニの精神をデジタル空間に融合できることに興奮している」とコメントしている。
高性能な実車スペックと仮想体験の融合
テメラリオは、ランボルギーニ初のV8ツインターボエンジンと3つの電気モーターを組み合わせたハイブリッド車で、総出力は920CV(677kW)。0-100km/h加速は2.7秒、最高速度は343km/h。WLTP基準での燃料消費量は100kmあたり11.2リットル、CO2排出量は1kmあたり272gとされている。
さらに、軽量化パッケージ「アレジェリータ」を選択すれば、カーボンホイールなどの採用により車両重量を25kg以上削減できる。空力性能も強化され、ダウンフォースは67%、空力効率は62%向上する。
Wilder Worldが描く未来のメタバース体験
Wilder Worldは、高精細な3D仮想空間を特徴とするフォトリアリスティックなオープンワールド型メタバースだ。レース、FPSバトル、ストーリーミッション、ソーシャルイベントなど多様なコンテンツが用意されており、Polygon Chain上に構築されている。
Samsung、Epic Games、NVIDIAなど業界大手の支援も受けており、将来的なメタバースの中核的存在として注目されている。今回のランボルギーニとの協業は、仮想空間と現実世界を結ぶ先進的な事例として、自動車業界に新たな可能性を示す取り組みとなっている。