ビットコインは禁止にもかかわらず中国人トレーダーらが仮想通貨購入に注目

中国人トレーダーらが仮想通貨購入に注目

中国の株式市場が低迷に直面するなか、トレーダーの間で新たな投資トレンドが生まれつつあり、ビットコイン(Bitcoin/BTC)をはじめとする仮想通貨は、経済の不確実性の中で安定をもたらす代替投資先として人気を集めていることが明らかになった。

この変化は、仮想通貨取引とマイニングに対する中国の厳しい禁止令にもかかわらず、中国の投資家の回復力と適応力を示しており、大きな注目を集めている。中国本土は仮想通貨取引を禁止しているが、OKX(旧OKEx)やバイナンス(Binance)のような取引プラットフォームは、店頭チャネルやその他の手段を通じて、中国の顧客に対応し続けている。

さらに、海外の銀行口座や香港のデジタル資産に対する比較的友好的なスタンスも、規制を回避するのに役立っており、グレーゾーンではあるが、中国の仮想通貨市場は繁栄。仮想通貨データプラットフォームのChainalysis(チェイナリシス)は、中国のP2P(ピアツーピア)の仮想通貨取引量が大幅に増加しており、2022年の144位から2023年には世界13位に上昇したと指摘している。

中国の仮想通貨市場は禁止にもかかわらず驚異的な取引量を記録

公式に禁止されているにもかかわらず、中国の仮想通貨市場は2022年7月から2023年6月の間に864億ドル(約12.8兆円)という驚異的な取引量を目撃している。

上海を拠点とする金融セクターのエグゼクティブ、ディラン・ラン(Dylan Run)氏はこの傾向を象徴しており、2023年初頭、中国経済が苦境の兆しを見せる中、ランは仮想通貨投資の多様化を始めた。同氏は農村部の小規模な商業銀行の銀行カードを使い、グレーマーケットでの取引に関与して制限を乗り切ったと見られており、彼の戦略では、摘発を避けるために各購入額の上限を6,978ドル(約100万円)に設定していたという。同氏は現在、仮想通貨14万1,024ドル(約2,000万円)相当を保有。投資ポートフォリオの半分を占めており、中国の株式市場が低迷しているのに比べ、同氏の仮想通貨投資は45%も高騰しており、ビットコインは金のように安全な避難所だと語っている。

実際、仮想通貨へのシフトは同氏だけのものではなく、多くの中国人投資家は、デジタル資産への創造的な投資手段を求めており、仮想通貨は、自国の不安定な株式市場や不動産市場よりも安定していると認識されている。

中国と香港は、最も利用されている仮想通貨プラットフォームの種類においてもユニークな内訳を示しているが、両国における仮想通貨活動の多くがOTC (※1)や非公式なグレーマーケットのP2Pビジネスを通じて行われているという逸話的証拠を考慮すると、これらの数字は大目に見る必要がある。

(※1)OTC(Over The Counter)とは…
仮想通貨取引所や市場を介さない大口取引顧客を対象とした相対取引の事