アバランチとトヨタ・ブロックチェーン・ラボが自動運転ロボタクシーインフラ開発に着手
DApps(分散型アプリケーション)開発のためのプラットフォームであるアバランチ(Avalanche)とトヨタ・ブロックチェーン・ラボは、信頼性とモビリティを向上させる新たなブロックチェーンレイヤーの研究を発表した。
Avalanche x Toyota! #CHAINREACTION https://t.co/dDrlDaOSWY
— Cointelegraph (@Cointelegraph) August 27, 2025
アバランチとトヨタ・ブロックチェーン・ラボは、自律走行型ロボタクシーフリートに必要な将来のインフラを計画。MON (Mobility Orchestration Network)と呼ばれるブロックチェーンベースの仲介ネットワークを通じて、「信頼性をオーケストレーションし、モビリティの価値を最大限に引き出す」新たなブロックチェーンレイヤーの構築に関する研究を発表。
投資家はブロックチェーンを介して資金調達をし、ロボタクシーの運行状況を追跡でき、ビジネスモデル全体をオンチェーン上でゼロから構築できる。同社は発表に際して次のように述べている。
MONは、証券、決済、保険、融資、モビリティサービスといった複数の既存のネットワークとの相互運用を前提に設計されたニュートラルネットワークです。MONはこのサイクルの起点となる一方で、モビリティの価値循環に関わる複数のネットワークを統合することが主な役割です。
未来の交通の向けた現在の取り組み
この取り組みは、未来の交通におけるブロックチェーン技術の新たなユースケースを浮き彫りにしている。
投資家はブロックチェーンを介して資金を調達し、ロボタクシーを追跡でき、ビジネスモデル全体をオンチェーン上でゼロから構築できる。アバランチのマルチチェーン・インフラとICM(インターチェーン・メッセージング)を基盤とするこの概念実証は、車両ファイナンス、ライドシェア、保険、カーボンクレジット追跡のための安全なデータ共有を可能にし、二次市場における所有権移転を合理化することを目指している。
同社ネットワークの開発を手がけるAva Labsの日本代表、平田良一氏によると、アバランチとトヨタが今後展開するMONネットワークは、将来的には完全自動運転ロボタクシーの導入を含む、新たなユースケースへの扉を開くとのべている。
デジタル形式のMON所有権
MONはトークン化によって、段階的に代替性を変化させ、開発者は、製造時にOEM(オリジナル機器メーカー)が車両の所有権をNFT(非代替性トークン)として発行することを提案している。
このNFTは、車両の固有のIDを確立する最初の公式記録となり、MOA(モビリティ指向アカウント)と切り離せない方法でリンクされる。モビリティを資産としてERC-721系トークンであるVehicleOwnershipを既存の金融に結び付け、証券化の枠組みの構築を目指している。
しかし、これらを構築するためには、第三者に対して有効な所有権が必要となる。VehicleOwnershipは、実際の車両に「所有権」の概念を与え、HAL(ハードウェア抽象化レイヤー)のような金融アクセスのための薄いセキュリティレイヤーを追加。MOAは属性データと運用証明を保持するため、このトークンは基本的かつ相互運用可能な所有権ルートとして機能する。
完全自律型ロボタクシーフリート実現にはメーカーと規制当局の協力が必要
完全自律型ロボタクシーフリートの構想実現には、規制当局とメーカーの協力が不可欠だが、メーカーの協力を得るのが難しいのが現状だ。
平田氏は、規制当局と自動車メーカーは、ブロックチェーン台帳に公式記録を保存し、オンチェーンでの所有権移転などのユースケースを可能にするために協力する必要があると述べたうえで、次のように語っている。
公式記録は常に国によって、異なる形式で存在します。そのため、公式記録とメーカーがブロックチェーン上で協力することが、私たちが取り組むべき最も重要な課題です。
トヨタとアバランチによる最新の概念実証により、モビリティのトークン化は暗号資産投資家にとって次の大きなトレンドとなる可能性がある。現状では実現が困難だが、将来のユースケースでは、トークン化をサポートするために「多くのシステム」と分散型アプリが必要になると予想される。