FRBパウエル議長:金融リスクと中国のデジタル人民元について語る

パウエル議長が金融システムリスクについて発言

FRB連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は記者団に対し、資産評価の一部は「泡立った」ように見えると表現。その上で、金融システムに悪影響を与える可能性のあるリスクは見られなかったと語った

同議長は、市場価格の大幅な上昇について、中央銀行の金融緩和政策に部分的に関連している可能性があると述べ、これらの上昇はパンデミック後の世界に対する楽観主義が主な推進力になっていると述べ、次のように語った。

これは、ワクチン接種と経済の再開と非常に大きな関係があります。これが、過去数カ月で市場を大きく動かしてきたことです。


パウエル議長の注目点とは

パウエル議長の発言は、中央銀行が積極的に緩和的な金融政策を実行することを快適に感じていることを明らかにした。

4月18日(水曜日)に開催された政策決定連邦公開市場委員会後、パウエル議長は記者団に対し、FRBは利上げから「長い道のり」を維持していると語った。同議長は、中央銀行は依然としていくつかの金融安定リスクに注目しているほか、住宅価格の上昇が注目を集めていると付け加えた。

デジタル人民元がデジタルドルに与える影響について語る

パウエル議長は、政策決定連邦公開市場委員会後、中国のデジタル人民元についても語っており、デジタル人民元の急速な発展は、連邦準備制度理事会が独自のデジタル通貨プロジェクトを急ぐことを余儀なくされないと語った。

FRBの主な目標は市場投入までのスピードではなく、世界の主要な準備通貨であるドルのデジタル化を実行する際の悲惨な失敗を回避することであると強調し、次のように語っている。

それを速くすることよりも正しくすることの方がはるかに重要です。中国で使用されている通貨は、ここで機能する通貨ではありません。これは、政府が使用されているすべての支払いをリアルタイムで確認できるようにするものです。

パウエル議長によると、米国の中央銀行は、デジタル通貨で可能な機能を理解するために時間をかけている事を明かし、国と世界の準備通貨としてドルに依存している人々にとって意味のある方法で技術が使用されていることを確認することも含まれていると述べた。同議長は以前、FRBが議会の行動なしにデジタル通貨の開発を進められないと明かしている。現時点で、連邦準備制度理事会のボストン地域部門は、MIT(マサチューセッツ工科大学)デジタル通貨イニシアチブとの共同プログラムで中央銀行のデジタル通貨がどのようになるかを調査し、進めている。同研究プロジェクトは2、3年続くと予想されている。

一方の中国では、すでに人民元をテストするためのパイロットプログラムが実行されている。「中国深セン市、約3,200円相当の「デジタル人民元を配布」で実証実験を開始」「中国、デジタル人民元のデジタル実験を拡大する意向」などで当NEXTMONEYも特集記事で報じている。そのため、一部のアナリストは、世界で2番目に大きな経済からのより速いペースが、人民元をドルよりも支配的にする可能性があるかどうかを疑問視する声が上がっているのが現状だ。

中国深セン市、約3,200円相当の「デジタル人民元を配布」で実証実験を開始

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