中国深セン市、約3,200円相当の「デジタル人民元を配布」で実証実験を開始

中国深セン市、約3,200円相当の「デジタル人民元を配布」で実証実験を開始

中国広東省深セン市は、中国人民銀行(中国の中央銀行)は発行・構想するデジタル人民元を市民に限定的に配布し、個人のスマートフォンを使用して同銀行と連携した実証実験を行うことが明らかになった。国営通信の新華社などが報じた。

実証実験で使用されるのは、人民元をデジタル化した中央銀行デジタル通貨(CBDC)である。これはデジタル人民元と呼ばれ、実証実験において総発行枚数1,000万元(約1億5,700万円)が配布され、抽選で1人あたり200元(約3,200円)が配布。個人のスマートフォンを通じ、専用アプリをダウンロードして使用することが可能だ。

中国のデジタル人民元は現時点で、パイロットプログラム下において実証実験を繰り返し実施している。

最新の報道では、中国人民銀行はパイロットプログラムの一環として既に、300万件を超えるトランザクションを処理していることを10月6日の仮想会議「Sibos2020」で、PBoCのファン・イー・フェイ(Fan Yi Fei) 副行長が語った。この300万件を超えるトランザクションは11億元に相当する。また、8月下旬までに合計113,300件分の個人用デジタルウォレットと8,859件の企業用デジタルウォレットが開かれている。

世界各国の中央銀行が構想するデジタル通貨については、中国が依然として先頭を走っている。一部報道では、デジタル人民元を2022年に開催予定の北京オリンピックで使用する計画を立てていることが報じられており、PBoCの金融政策部門の責任者サン・グオフェン(Sun Guofeng) 金融政策局長は、中央銀行は金融政策の方向性や政策への柔軟なアプローチを変更しないと語っている。

最近では、日本銀行も現時点で中央銀行デジタル通貨(デジタル日本円)を発行する計画がないとした上で、決済システム全体の安全性と効率性を確保する観点として、個人や企業など幅広い利用を想定したCBDCへの取り組み方針を発表している。しかし発行に関する現段階の進捗は、構想およびリサーチの段階にあることから、デジタル人民元の計画と比較して大きく遅れをとっている状況だ。