ウォン建てステーブルコイン時代へ向け銀行と規制が動き出す
韓国のKB国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリ銀行の4大銀行が、USDC発行元のサークル(Circle)と会談を計画している。
会合はサークル社のヒース・ターバート(Heath Tarbert)社長のソウル訪問に合わせて調整されており、ドル建てステーブルコインの国内流通や国際送金、さらにはウォン建てステーブルコインの発行について協議される見通しだ。
銀行が仕掛ける新たなステーブルコイン戦略
各行はステーブルコインへの対応を前倒しで進めており、KB金融グループは「仮想資産対応協議会」にステーブルコイン部を常設化、新韓銀行はウォン建てステーブルコインを活用した決済システムを検証予定だ。
ハナ金融グループはシステムと事業インフラの分析を強化し、ウリ銀行はデジタル資産チームを設置し商標出願まで踏み込んでいる。
協議テーマの核心
協議はドル建てステーブルコインの国内流通、国際取引での活用、そしてウォン建てステーブルコイン発行の可能性が中心となる。各銀行は国内フィンテックや大手テック企業との提携も視野に入れている。
FSCの新法案と韓国銀行の警告
FSC(金融委員会)は仮想資産利用者保護法の第2段階として、ウォン建てステーブルコインを対象とする規制法案を10月に国会へ提出する予定だ。
草案は発行基準、担保管理、内部統制の3本柱で構成され、同月中の公布を目指している。発行体にはウォン準備金での完全裏付けと、厳格な内部統制の維持が義務付けられる。
制度化へ向けた歩み
国会では複数の法案が並行して審議されており、規制議論は加速している。韓国銀行は「認可銀行による発行から始めるべき」と通貨リスクに警告を発し、初期段階は銀行主導、その後非銀行系へ拡大するシナリオを示唆した。
韓国市場は小売主導のブームから、銀行と大手企業の参入を伴う制度化の段階に移行しつつある。政府は来年までに必要な改正案を国会に提出する計画だが、改正件数の多さから進展のスピードは不透明だ。近隣の日本や香港、シンガポールが規制整備を加速させる中、韓国がウォン建てステーブルコインをどのように制度に組み込み、市場安定と投資家保護を実現するかが注目される。