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意外と知らない、アメリカの仮想通貨“規制”について
Facebookが仮想通貨「Libra」を発表したことでアメリカでは仮想通貨に関する議論の熱が高まりました。世界の経済や技術を牽引するアメリカは世界の仮想通貨の動きにも影響を及ぼします。
今回は米国における仮想通貨の規制について日本と比較しながら解説し、中国の動向も紹介していきます。
日本の仮想通貨規制について
日本で仮想通貨にかけられている規制は販売側、発行側へが主となっています。具体的にはICO規制、匿名通貨規制、そして取引所の規制です。
一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要について」によると会員のICO(イニシャル コイン オファリング)をする場合、また会員でない第三者がICOを行い、会員と通貨の交換を行う際の自主規制を検討しています。つまり信頼できるICOとそうでないICOの差は今後明確になっていくのです。
同文章によると、匿名通貨とその他にも公益上問題のある仮想通貨の取り扱いはできないと規定されています。
日本で仮想通貨交換業を営むには改正資金決済法(仮想通貨法)に従う必要があります。
- 仮想通貨の売買または仮想通貨の交換をすること
- 上記行為の媒介・取次・代理をすること
- 1・2の行為に関して、利用者の金銭または仮想通貨の管理をすること
いずれかを日本で行うには仮想通貨交換業のライセンスを取得しなければなりません。
現在仮想通貨交換業として認可されている第1種交換業は19社で、みなし業者と呼ばれる仮想通貨交換業に申請中の会社は7社存在しています。
- 株式会社マネーパートナーズ
- 株式会社bitFlyer
- QUOINE株式会社
- ビットバンク株式会社
- SBI VC トレード株式会社
- GMOコイン株式会社
- フォビジャパン株式会社
- BTCボックス株式会社
- 株式会社ビットポイントジャパン
- 株式会社DMM Bitcoin
- TaoTao株式会社
- Bitgate株式会社
- 株式会社BitOcean
- 株式会社フィスコ仮想通貨取引所
- テックビューロ株式会社
- 株式会社Xtheta
- コインチェック株式会社
- 楽天ウォレット株式会社
- 株式会社ディーカレット
- 株式会社 Last Roots
- LVC株式会社
- コイネージ株式会社
- オーケーコイン・ジャパン株式会社
- 株式会社マーキュリー
- FXcoin株式会社
- Payward Asia株式会社
米国の仮想通貨規制について
アメリカでは州ごとで法律が定められているため規制が様々でしたが、米国証券取引委員会(SEC)により国全体での統一的な規制が進められています。
例えば、仮想通貨取引所はアメリカでも同じように証券取引所として登録しなければなりません。またICOも認可を受ける必要があり、認可を受けない場合、証券取引法の規制対象になります。
米証券取引委員会(SEC)とは
SECはUS Securities and Exchange Commissionの略称で米国証券取引委員会のことです。1934年に設立された独立連邦政府機関で、証券市場において投資家を守ることを目的に活動しています。日本には証券取引等監視委員会という組織がありますが金融庁の傘下で司法的な権限は持っていません。
一方でSECは市場における不公正な取引を取り締まる、司法権に準ずる権利を保有しています。
h3タグ:米商品先物取引委員会(CFTC)とは
CFTCはCommodity Futures Trading Commissionの略称で米商品先物取引委員会のことです。1974年設立された先物取引・オプション取引を規制する機関で、こちらも市場参加者の保護を目的に活動しています。
米国に拠点をおいて先物取引をする場合、CFTCへ登録しなければなりません。
仮想通貨市場に参入する企業
アメリカで仮想通貨市場に参入する代表的な企業は「Facebook」です。6月18日に仮想通貨「Libra」を発表し、世間を賑わせました。
Facebook上での買い物や送金だけでなく、すでにスポーティファイ、マスターカード、ウーバー、ビザカードなどと提携することが決まっています。
フェイスブックに向けられる規制と批難の声
Facebookの「Libra」に関して米国全体が歓迎している訳ではありません。米国の主要人物がどのような声をあげているのか見ていきましょう。
Facebookは数十億人のプライバシーデータを持っていながら、情報の流出などを繰り返しているため、議会と規制当局の精査が必要であると米国議会は開発停止を求めました。
トランプ大統領の反応
….Similarly, Facebook Libra’s “virtual currency” will have little standing or dependability. If Facebook and other companies want to become a bank, they must seek a new Banking Charter and become subject to all Banking Regulations, just like other Banks, both National…
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 12, 2019
「Facebookの仮想通貨Libraは、ほとんど立ち上がりや信頼性を持っていません。フェイスブックや他の企業が銀行になりたいのなら、彼らは新しい銀行憲章を求め、他の銀行と同様に、すべての銀行規制の対象となる必要があります。」
トランプ大統領は「その不安定さや違法行為を促進する可能性があるためビットコインや仮想通貨のファンでもない」とも発言しています。
パウエルFRB議長の反応
2019年7月10日にワシントンで開催された米国下院金融委員会の「金融政策と経済状況」に関する会議で、パウエルFRB議長は仮想通貨Libraに対して「(個人情報保護、マネーロンダリング、ユーザー保護、金融の安定性の観点で深刻な懸念が解消されるまでFacebookのLibraが)先に進むことはできない」と発言しています。
これから参入が予想される企業について
- ウォルマート
- マスターカード
- IBM
- アリババ
以上の参入が決定、期待されている企業についてご紹介していきます。
世界最大のスーパーマーケットチェーンウォルマートは独自仮想通貨の発行を計画しています。Libraと同じ米ドルを基軸としたステーブルコインで、Facebookと同様にすでに多くの顧客がいることが特徴です。
またウォルマートは2018年7月にブロックチェーンを利用した配送管理システムの特許を申請したことが判明しています。
マスターカードも同様に、ブロックチェーン事業へと本格的に動き始めています。同社のホームページで仮想通貨とウォレット製品の開発のための採用を始めました。
また、マスターカードはLibraの開発を進めるLibra協会にも参加しています。
2018年段階でアメリカのIBM社は世界で2番目に多くブロックチェーンに関する特許を申請しています。世界第一位は90個を申請しているアリババで、IBM社に申請数は89個です。
2018年7月には米ドルと連動するステーブルコイン「ストロングホールドUSD」の開発をしています。
ブロックチェーンに力を入れるアリババは中国内だけでなく世界各国で展開していくと発表しています。2019年5月23日には知的財産システムにブロックチェーンを統合することを発表しました。
9月には完全に導入することを計画しており、その他にも積極的にブロックチェーン事業に着手しています。
中国も独自の仮想通貨を発行か
中国裁判所、ビットコインを「仮想財産」として認定
FacebookがLibaraを発表したことが中国政府にも大きな影響を与えています。中国では2017年以降仮想通貨取引所の運営は禁止されており、仮想通貨に対しては寛容ではありませんでした。
しかし7月18日、仮想通貨投資会社プリミティブ・ベンチャーズの創業メンバーであるドビー・ワン氏は杭州インターネット裁判所がビットコインを「仮想財産」と認めたとTweetをしています。この件についてワン氏は、「ビットコインが中国で合法であるを示す大きな証になる」と述べています。
中国銀行が公式サイトにてビットコインの解説記事を公開
続いて26日には中国銀行が公式サイトにてビットコインの解説記事を公開しました。この中にはビットコインの価格上昇の要因やハッキングの歴史が記載されており、さらにはLibraについても書かれています。
Facebookは多くのユーザーを抱えているため、米ドルに依存せずLibraを使うことが一般的になるかもしれません。そのため脱米ドルを掲げる中国にとってLibraは注目の通貨となっています。
「中国中央銀行は独自の仮想通貨計画を強化するべき」
2014年から中国人民銀行はデジタル通貨の研究を始めており、この分野での最先端の地位の確保に努めています。
しかしデジタル通貨の研究に多くの課題を残している中国人民銀行にとってLibraの影響は大きなものとなりました。
その後仮想通貨の研究に遅れを取らないために中国人民銀行は仮想通貨の研究・開発を加速させることを発表しています。
まとめ
投資家を守るためにどの国でも仮想通貨に規制がかけられています。しかしこの規制は仮想通貨をただ縛るだけではありません。仮想通貨が普及するためにも必要な過程で、このルールの中で仮想通貨は徐々に開かれたものになっていくでしょう。
その一例が中国におけるLibraに対する反応と言えます。Libraに対して注目する声も、批判的な声もありますが、世界に大きな影響を与えたことは間違いありません。
今後も日本、米国をはじめとする世界の仮想通貨規制事情に注目しましょう。