仮想通貨暴落戦線
G20開催目前!駆け込み規制ラッシュ
2018年3月19日〜20日にかけて『G20(20カ国・地域)』の財務省・中央銀行総裁会議がアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されます。
財務相・中央銀行総裁会議は、各国の財務大臣と中央銀行総裁が一堂に会して国際的な経済・金融問題について話し合う会議のことで、仮想通貨の規制強化を主要課題としており、仮想通貨市場の今後の方向性を占うにあたり、極めて重要な位置付けのイベントとなります。
G20で仮想通貨について議論されるのは初となり、共同声明を閣議する方針です。
マネーロンダリング(資金洗浄)や不正事件を防ぐため、利用者のKYC(本人確認)などを義務付ける方針です。
最大の注目は、ビットコインなどの仮想通貨規制案に関してです。
議論内容としては・・・
- 仮想通貨取引所に対する規制、及び利用者保護の在り方
- 風説の流布について
- 犯罪資金調達やマネーロンダリングへの対応
などが議論される見通しだと報じられており、付随する他の議題としては、以下のようなものが考えられます。
- ICO規制
- 匿名性通貨の取り扱い
G20とは、「Group of Twenty」の略で、主要国首脳会議(G7)に加盟する(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)に加え、EU(欧州連合)、ロシア、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンを含めた計20ヶ国(地域)で構成されています。
そして19日から始まる会談を前に、世界各国から仮想通貨に関連する方針が続々と発表されています。
【日本】
・2017年4月に改正資金決済法(仮想通貨法)が成立。金融庁による事業者登録を義務付ける。 コインチェック事件を受けて臨時の立入検査を行った上、一部事業者を不適格だとして、業務停止命令などの行政処分を実施。
【韓国】
・金融委員会(FSC)は、ICOを禁止。2018年1月。法務部長官が、国内にある全ての仮想通貨取引所の閉鎖を検討中と発表。
【中国】
・中国人民銀行が、ICOによって資金調達をすることを全面的に禁止。取引所の閉鎖や、国内外の取引所へのアクセスの遮断措置を講じる。
【アメリカ】
・州によって自由度が異なるものの、証券取引委員会(SEC)が、違反が疑われた場合、仮想通貨取引所での仮想通貨取引を規制する意向を示す。
これまで仮想通貨に対する世界基準の法律が存在しなかった為、今回の議論は今後の仮想通貨の未来を占います。このように世界各国の財務トップは、仮想通貨市場の投機的側面や、法整備が追いつかずサイバー犯罪に悪用されやすい無秩序な現状に対して強い懸念を示しており、規制強化の方針で概ね一致していることから、G20の議論でも足並みを揃えてくるのではないかと予想されます。
G20後の明確な意思表示がなされるまでは、各国からの規制報道や様々な懸念から仮想通貨市場から資本が剥けていくことは必然とも言えます。
Mt.GOX BTC売却問題にゴールドマンサックスが言及
昨年、CEOダイモン氏の「ビットコインは詐欺だ」発言で一躍仮想通貨界隈で脚光を浴びたゴールドマンサックス。
投資銀行のアナリストであるShebe Jafari氏は3月11日のビットコイン価格下落を受け、このまま2月の安値である5922ドル(約63万円)まで価格が急下落する可能性があると警告しました。
同氏によれば、直近の不安定な価格変動は2月はじめにMt.Goxの破産管財人である弁護士、小林信明氏によって多額のBTC/BCHの売却がなされたことが原因とのことです。
実際、2月に小林信明氏が多額の売却を行なった翌日にビットコイン価格は急下落、その際記録した安値が5922ドルでした。
先日Mt.Goxから東京地方裁判所に提出された『報告書(平成30年3月7日)』にて、2017年12月から2018年2月の間に、以下に示すビットコイン及びビットコインキャッシュの合計 429億8804万4343円分が売却されていたことが明かされています。
Sheba Jafari氏は今後に関して次のように述べました。
7,198ドル(約76万円)から7,687ドル(約81万円)の範囲が次の重要なレベルであり、また、ビットコイン価格安定のためには、2月26日のラインである9,322ドル(約99万円)まで戻る必要がある。
一方、Mt.Goxの保証金に関しては管財人である小林信明氏の動向が鍵になるようです。
2月の売却について「私と関係者はパニックになり底値でビットコインとビットコインキャッシュを売却してしまった」と話す小林信明氏ですが、Mt.Goxの保証金の全ては法定通貨に換金されておらず、さらなるビットコインやビットコインキャッシュの売却が行われるのか、あるいはビットコインのまま保証されるのか、ソーシャルメディアの注目が集まっています。
北朝鮮、非核化を発表 米大統領トランプ氏と対談へ
韓国大統領府の鄭義溶国家安保室長は8日、トランプ米大統領に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の親書を手渡した、と報じられました。
親書の内容には、北朝鮮の非核化、核やミサイル実験の中止、トランプ大統領との会談に関する内容が綴られていたと発表されました。
今回の北朝鮮意思表明の前までは、北朝鮮の核・ミサイル問題にて不透明感が増していた状況が続いていたため、典型的なリスクオフな状況であったと言えます。
仮想通貨はリスク資産でありながらも、国際的な経済状況の悪化に伴うリスクオフの状況で買われている動きも確認されており、リスクオフ時に注目された仮想通貨市場から資金が流れた可能性があります。
リスクオフとは・・
「投資家がリスクを回避するようになり、より安全な資産に資金が向かいやすい相場状況を表した金融用語です。ここ最近では、欧州の金融危機懸念が再燃するとリスクオフ(リスク回避)となり、株式から比較的安全とされる米ドル(米国債)や日本円(日本国債)などに投資家の資金が向かいます。つまり、万が一に備えて、リターンは低くても安全な金融商品が選ばれる状況がリスクオフです。対義語はリスクオンです」
ここ数年、北朝鮮の複数回の核ミサイル実験が行われていましたが、発射されるたびにビットコインの価格が上昇するケースが目立っていました。
平昌五輪の開催や、非核化宣言による融和ムードが国際的な経済状況の良化に繋がったとみられています。
Google 6月から仮想通貨広告禁止へ
➡ http://nextmoney.jp/news3-15/
数日前まで’’ICOの広告禁止’’と伝えられていましたが一転、仮想通貨に関するすべての広告が禁止されることとなりました。
上げ相場へのキーワード
ここまでの下落要因をまとめると・・・
- 各国の規制ラッシュ
- Mt.GOX 売り圧力
- 北朝鮮、非核化によるリスクオフ
これらの他に挙げるとすれば、日本の確定申告期限である3月15日に納税分の日本円確保のための売り圧力がかかったことも考えられます。
しかし、これらはあくまで短期的な下落を引き起こしている要因に過ぎないのです。
なぜなら各国の規制やG20での議論によっては取引所の改善やICO詐欺などの投資家のリスクが軽減され、利用者保護の観点から国による適切な規制強化は、業界の健全な発展や取引の安全性や信頼性の担保にも繋がることから今後の市場拡大へ、好材料になる可能性を秘めています。
韓国は既にICO禁止を撤回し、規制緩和を目指す方針を打ち出しました。
Mt.GOXの件もどうなるのか読めない点がありますが、時間が解決するでしょう。
しかも、破産から4年間BTCを処分しなかった管財人が、民再調査委員の「債権者が既存の利益の確保」を求めたことに応じて、債権額相当の最小限の処分を行ったにすぎないので、残りが処分されることは当面ないと考えられます。
北朝鮮の非核化に関してはあまり多くを語れませんが、歴史が物語っているようにいずれ裏切ります。
そして幾つかの下落要因を挙げましたが、最大の要因は「中国の規制強化」であるかもしれません。
中国は昨年9月にICOによる資金調達の全面禁止と、取引所の閉鎖を実施しました。
そして今回の規制強化では、国内外の取引所へのアクセスの遮断措置を講じました。
この規制の影響から中国からのBinance,Bitfinex,Bitmexなどへのログインができなくなりました。
取引所が閉鎖され中国元の資本流入がなくなっている現状を考えると一見、関係のないことのように思えるかもしれませんが、実は中国では路面店などを通しP2P取引でビットコインを手に入れ、海外の取引所で取引を行う人が数多くいたとされています。
さらに、マイニングへの規制は緩いことから、ビットコインを仕入れることは難しいことではなかったのでしょう。
中国仮想通貨経済の停滞は、非常に大きな痛手です。
しかし、G20で規制緩和が成されれば、このチャイナマネーが戻ってきます。
様々の要因が重なり、停滞が続く仮想通貨ですが、明るい兆しを少しづつ見せはじめています。
革命には犠牲がつきもの、仮想通貨の真価が問われています。
3月19〜20日、G20の結果を楽しみに待ちましょう。
Nextmoney運営の堀口です!
停滞が続く仮想通貨市場…今回は下落を引き起こした要因をまとめました。
なぜ下がったのかを理解すれば、今後の市場分析に必ず役立ちます。