カザフスタン、国家仮想通貨準備金の創設を計画

カザフスタンの経済と仮想通貨政策を象徴するデジタルイラスト

カザフスタンは押収資産と国営マイニングから形成へ

カザフスタン政府が、仮想通貨を活用した国家準備金の創設を進めている。

構想では、違法取引から押収された仮想通貨や国営のマイニング事業から得られる資産を原資とし、国家初の仮想通貨準備金を構築する。政府は同時に、デジタル資産の正式な定義と制度化に向けた法整備にも取り組んでおり、仮想通貨の国家戦略としての位置づけを明確にし始めている。

NBK(カザフスタン国立銀行)のティムール・スレイメノフ(Timur Suleimenov)総裁は、議会での質疑応答の中で、国家仮想通貨準備金の創設に強い関心を示した。NBKは国際的なベストプラクティスを参考にしつつ、会計・保管・所有権の透明性を重視した制度設計を進めている。

準備金の運用はNBKの監督下に置かれ、代替投資に特化した専門子会社が実務を担う可能性がある。仮想通貨は価格の変動性が大きく、セキュリティ上のリスクも高いため、中央集権的かつ制度的な管理体制が必要不可欠だとスレイメノフ氏は強調している。

NBKは既に議員らと連携し、準備金に関する法的枠組みの策定に着手しており、資産の取得、保有、活用までを規定する包括的なスキームが設計されつつある。

法整備とAI監視で透明性と安全性を強化

ベリック・ショルパンクロフ(Berik Sholpankulov)副総裁は、デジタル資産の規制強化に向けた法改正案をすでに起草したと発表している。

これは大統領の指示に基づくものであり、他の省庁との協力のもとで正式な立法に進む見通しだ。さらにNBKは、英国やシンガポール、UAEといった先進国のモデルを参考に、「デジタル資産規制サンドボックス」の導入を予定している。これにより、仮想通貨関連事業者やフィンテック企業は、規制環境下で新たなサービスや技術を試行できるようになる。

加えて、政府は違法な仮想通貨取引の監視体制としてAIを導入する方針を示している。このAIシステムは、認可外の取引所での不審な動きを検知し、行政罰や刑事罰の対象となる取引を特定することを目的としている。

現在、カザフスタン国内における仮想通貨取引は、アスタナ国際金融センター(AIFC)内の認可取引所でのみ合法とされており、バイナンス(Binance)やバイビット(Bybit)などが正式に認可を受けている。他にも複数の取引所が、規制サンドボックス内で活動を行っている。

また、同国はソラナ財団と「ソラナ経済特区」の設立に関する覚書を締結しており、仮想通貨分野への積極的な関与を継続。国家仮想通貨準備金の設立が実現すれば、カザフスタンは中央アジアにおけるデジタル資産政策の先進国として位置づけられ、他国にも大きな影響を与えることが予想される。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム