リップル、BNYメロンと提携しRLUSDの信頼性強化へ

リップルとBNYメロンの提携を象徴するステーブルコインのイメージ

リップルがRLUSDの信託先にBNYメロンを指名

リップル(Ripple)社は、米ドルに連動するステーブルコイン「RLUSD」の準備金保管先として、世界有数の資産管理機関であるBNYメロン(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)を選定した

ステーブルコイン市場の成長に伴い、信頼性と安全性を確保する体制強化の一環とされる。

BNYメロンは、機関投資家向けの資産管理サービスを展開しており、今回の提携により、RLUSDの裏付け資産となる現金や米国債の保有・管理を担う。あわせて、トランザクションバンキングサービスの基盤としても活用される予定だ。RLUSDは、ニューヨーク州金融サービス局の信託会社設立認可に基づき発行され、特にクロスボーダー決済の高速化やコスト削減など、法人利用に適した設計となっている。発行体であるリップル社は、RLUSDを米ドルと1:1で完全に裏付け、信頼できる金融機関に資産を預託する。

リップルのステーブルコイン担当SVP、ジャック・マクドナルド(Jack McDonald)氏は「RLUSDは、大手金融機関の厳格な基準を満たすエンタープライズ向けステーブルコインとして、従来の金融と仮想通貨のギャップを埋める」と語り、BNYメロンの専門性と先進性を高く評価している。

RLUSDの急成長とエンタープライズ向け戦略

RLUSDは2024年12月にローンチされ、すでに時価総額は5億ドル(約736億円)を突破。現金および米国債で1:1の裏付けを持ち、機関投資家が求める透明性とセキュリティを備えている。

BNYメロン資産サービス部門のエミリー・ポートニー(Emily Portney)氏は、「主要保管機関として、準備資産と現金の円滑な移動や変換を支援できることを誇りに思う」と述べており、同社の関与がRLUSDの信頼性向上に貢献していることを示している。

国際展開とパートナーシップ

スイスの認可金融機関であるAMINA銀行もRLUSDの保管および取引サービスを提供しており、国際的な展開が進んでいる。

AMINAはFINMAの規制下にあり、安全性の高いプラットフォーム上でモバイルやデスクトップからの管理が可能だ。さらに、リップルはOCC(Office of the Comptroller of the Currency:米国通貨監督庁)に国家信託銀行の認可を申請し、連邦準備銀行のマスターアカウント取得も目指している。これにより、中央銀行との直接決済や24時間365日の運用が可能になる見通しだ。

こうした取り組みにより、RLUSDは単なる小売向けではなく、企業の決済・流動性・国際送金といった実務に活用できるステーブルコインとして位置づけられている。

ステーブルコイン市場全体の動向と今後

現在、ステーブルコイン市場はおよそ2,500億ドル(約36.8兆円)規模に達しており、テザー(Tether/USDT)やサークル(Circle)のUSDコイン(USDCoin/USDC)が市場の約90%を占めている。

将来的には5,000億ドル(約73.6兆円)規模に拡大するとの見方もあり、透明性や規制準拠の重要性が一層高まっている。こうした中、リップルはRLUSDを通じて、より高い透明性と規制準拠を武器に市場の信頼を獲得しようとしている。

リップルの動きは業界全体の流れとも重なっており、サークルも信託ライセンス取得や連邦準備へのアクセスを目指し、620億ドル(約9兆円)を超えるUSDC準備金を管理する新たなデジタルバンク構想を推進している。BitGo、Coinbase、Anchorageといった他の企業も同様の規制下での展開を模索しており、仮想通貨と伝統的金融の融合が今後ますます加速していくとみられる。

 

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム