コインベースが仮想通貨政策の突然の転換をめぐってオレゴン州当局に透明性を求める
米国に本拠を置く、大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)は、公聴会なしに仮想通貨政策を変更したとしてオレゴン州当局を提訴し、州法に基づく透明性と記録の確保を求めている。
コインベースは、仮想通貨に関する突然の政策変更をめぐって、ダン・レイフィールド(Dan Rayfield)司法長官やティナ・コテック(Tina Kotek)州知事を含むオレゴン州を提訴。同社は、州当局が市民の意見聴取や正式な規則制定なしに、デジタル資産を秘密裏に証券に分類し直したと主張している。
同社は、オレゴン州の仮想通貨に関する突然の政策変更は、公聴会や適切な規則制定プロセスなしに、水面下で決定された結果であると主張。木曜日に提起されたこの訴訟は、オレゴン州の公文書法に基づく記録の入手を求め、この突然の政策転換の理由を解明することを目指しており、審議中の連邦法案により、オレゴン州の行動を受けて仮想通貨規制が見直される可能性があり、仮想通貨市場内外から高い関心が寄せられている。
4月にはオレゴン州がコインベースを提訴
同社は訴状の中で、オレゴン州による仮想通貨政策の突然の転換に関する詳細な資料の提出を要求。
長年にわたり、州当局はオレゴン州民に対し、仮想通貨を含むデジタル資産は証券として規制されていないと説明してきたが、4月にオレゴン州司法長官は、同社がSEC(米国証券取引委員会)およびオレゴン州消費者・ビジネスサービス局に登録していないことは違法行為であるとして、同社を提訴した。
Coinbaseは、州の決定は立法措置や公的な議論を経ることなく、予期せず行われたと主張。同社は、コテック知事をはじめとする当局者は、政策変更の根拠について透明性を確保すべきだと主張しており、同社の訴訟担当副社長であるライアン・ヴァングラック(Ryan VanGrack)氏は次のように述べている。
日光は最高の消毒剤であり、透明性は健全な統治の証です。
また、同社のポール・グレウォル(Paul Grewal)CLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)は、オレゴン州当局が密室でデジタル資産に関する立場を一変させたことを批判し、次のように述べている。
Oregon Gov @TinaKotek, AG @DanRayfield and other state officials flip flopped on digital assets behind closed doors, without hearings or agency rulemaking and public comment. And now they refuse the public records that show this. To right this wrong we are taking them to court. pic.twitter.com/UGecpM1YqX
— paulgrewal.eth (@iampaulgrewal) July 11, 2025
オレゴン州ティナ・コテック知事、AG DanRayfield他の州当局者も、公聴会や規則制定、そして一般からの意見表明もなく、密室でデジタル資産に関する方針を翻しました。そして今、彼らはそれを示す公文書の開示を拒否しています。この誤りを正すため、私たちは彼らを法廷に訴えます。
オレゴン州との訴訟、SECの訴訟棄却を受け再燃
オレゴン州による同社に対する訴訟は、SECが2023年に提起した同様の訴訟棄却に続くもので、SECは、同社が未登録証券の取引により証券法に違反したとして提訴していた。
しかし、この訴訟は2023年にバイデン政権下で取り下げられ、オレゴン州に倣って同社に対して法的措置を取った州は他にない。今年(2025年)4月、オレゴン州は独自の訴訟を起こし、同社の仮想通貨プラットフォームが州内で住民に未登録証券を提供することで違法に運営されていると主張した。
同社は、オレゴン州ではデジタル資産を規制する法律は制定されていないと主張しているほか、オレゴン州の訴訟は、同様の措置を講じていない他の州の立場と矛盾していると指摘。このような大規模な政策変更には通常、公聴会や議論が必要となることを強調した。同社によると、これには仮想通貨取引所やデジタル資産利用者を含む、業界のさまざまなステークホルダーからの意見を取り入れる必要があると述べたうえで、次のように主張している。
通常、このような公共政策の重大な変更は、公聴会、議論、そして最終的にはオレゴン州の選出された議会による行動、あるいは少なくとも、利害関係者が関与する機関による規則制定プロセスを通じて実現される