米英がデジタル資産規制の連携に向け180日間の試行期間を開始
米国と英国は「未来市場のための大西洋横断タスクフォース」を設立し、仮想通貨を含むデジタル資産と資本市場の規制で協力を進める。
The UK and US are deeply linked with £1.2 trillion invested between us.
Today @SecScottBessent and I have established the Transatlantic Taskforce for Markets of the Future, enhancing collaboration on key topics such as capital markets and digital assets.https://t.co/gdtZFzMJXx
— Rachel Reeves (@RachelReevesMP) September 22, 2025
英国と米国は、両国間で1.2兆ポンドの投資が行われており、深く結びついています。今日、スコット・ベッセントそして、私は未来の市場のための大西洋横断タスクフォースを設立し、資本市場やデジタル資産などの重要なテーマに関する協力を強化しました。
両国の財務省高官が共同議長を務め、既存の英米金融規制作業部会を通じて180日以内に勧告をまとめる計画である。焦点はトークン化やステーブルコイン、クロスボーダーでの監督・承認手続きの整合で、業界からの意見を取り入れる方針が示された。
タスクフォース設立の目的と活動内容
このタスクフォースは、米国財務長官スコット・ベッセント(Scott KBessent)氏と英国財務相レイチェル リーヴス(Rachel Reeves)氏の会談を契機に設立された。
両国の財務当局が共同議長を務め、資本市場とデジタル資産に関する規制をどのように連携させるかを検討。短期から中期で実行可能な協力策を特定し、180日以内に具体的な勧告を提出することが任務である。提言は業界関係者との緊密な協力を通じて策定され、取引所や運用会社、テクノロジー企業の意見が反映される予定だ。
デジタル資産、ステーブルコイン、トークン化証券といった新興分野を対象に、資本市場の透明性を高め、企業や投資家が円滑に資金調達できる環境づくりを目指す。加えて、機関投資家向けデジタル市場の基盤整備を進め、長期的なイノベーションの余地を広げることも視野に入れている。こうした動きは、両国経済の競争力を強化するための戦略的取り組みといえる。
業界の反応と英国の課題
仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)は、この取り組みを強く支持している。
同社は資産のトークン化やステーブルコインの大西洋横断回廊の構築、規制体制の相互承認を優先課題として挙げ、これらが世界の資本市場の仕組みを大きく変える可能性を指摘した。トークン化によって従来は大口投資家に限られていた取引や投資の機会が一般投資家にも広がり、金融サービスをより多くの人が利用できるようになると強調している。
一方で、英国の規制整備の遅れは業界から懸念されている。米国ではトランプ政権下で仮想通貨に友好的な政策が進み、規制当局の刷新やステーブルコイン関連法の成立が市場を後押ししているのに対し、英国は対応の遅れが批判されている。その結果、複数の企業がニューヨーク市場への上場移転を進め、ロンドン市場の地盤沈下が指摘されている。元財務相ジョージ・オズボーン(George Osborne)氏も現行の政策を批判し、英国が国際金融の舞台で取り残される危険性を警告した。
こうした状況を踏まえ、今回のタスクフォースは英国市場の再活性化を目指す取り組みでもある。成功すれば米国との協力を通じて規制の国際標準化が進み、ロンドン・シティと大西洋経済圏の強化に資する可能性がある。