米国の大学教授がステーブルコインの崩壊による米国債券市場への混乱を警告

米国の大学教授がステーブルコインの崩壊について警告

米国コーネル大学(Cornell University)のエスワル・プラサド(Eswar Prasad)経済学教授は、主要ステーブルコインの崩壊が米国の債券市場に与える潜在的な影響について警告している事が分かった。

プラサド教授は、主要ステーブルコインの崩壊の可能性に基づいて銀行が運営されると、米国の従来の金融システムに損害を与える可能性があると警告。大規模ステーブルコインが崩壊に直面した場合、売却する必要のある米国債の数が米国債市場を混乱させ、価格に影響を与える可能性があると指摘しており、ステーブルコインとその運営にはこの点でリスクがあるとの考えを示した。

ニュース専門放送局CNBCとのインタビューで同教授は、ステーブルコインはペッグの価値を維持するためのバックアップとして米国債を使用していると主張。市場の大きなステーブルコインの1つが崩壊または銀行の取り締まりに直面した場合、これらの組織はこれらの債券を償還して独自の償還を処理する必要があり、国債市場に大きな影響を与えると述べたうえで、次のように語っている。

流動性の高い市場であっても、大量の償還が行われると、原証券市場に混乱が生じる可能性があります。また、米国のより広範な金融システムにとって米国債市場がいかに重要であるかを考えれば、規制当局が懸念しているのは当然だと思います。


上位3位のステーブルコインは多数の米国債を保有

同教授らのレポートによると、上位3つのステーブルコインはすべて、国庫に多数の米国債を保有している。

2022年11月に発行されたレポートによると、仮想通貨市場の上位3つのステーブルコインの発行者であるサークル(Circle)、テザー(Tether)、パクソス(Paxos)の発行者は、米国債で600億ドル(約7.7兆円)近くを所有している。

目前に迫る米国のステーブルコインへの規制

ステーブルコインの崩壊による潜在的な問題に対処するための米国のステーブルコインに対する明確な規制の枠組みはまだ確立されていないものの、規制が間近に迫っている可能性がある。

12月、共和党のパット・トゥーミー(Pat Toomey)上院議員は、イノベーションを妨げることなくステーブルコインの運用を規制することを目的として、「Stablecoin Transparency of Reserves and Uniform Safe Transactions Act of 2022(日本語訳:2022年ステーブルコイン準備金透明性および統一安全取引法)」、通称TRUST法を導入した。また最近では、米国下院金融サービス委員会が、将来ステーブルコインを含む可能性のあるデジタル通貨エコシステムに明確なルールを提供することを目的として、”史上初”のデジタル資産、金融テクノロジー、インクルージョン小委員会を作成している。

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