エミレーツ航空が仮想通貨決済導入に向け前進
エミレーツ航空は、仮想通貨取引プラットフォーム大手のCrypto.comと覚書(MOU)を締結し、2026年から航空券や機内サービスの支払いに仮想通貨を利用できるようにする方針を発表した。
.@Emirates, @DubaiDutyFree, and @Cryptocom have signed a Memorandum of Understanding to enable digital payment solutions for travellers.
This partnership agreement represents a promising step towards our shared ambition to transform travel and commerce. By exploring advanced… pic.twitter.com/qS1WATKTWX
— HH Sheikh Ahmed bin Saeed Al Maktoum (@HHAhmedBinSaeed) July 9, 2025
エミレーツ、DubaiDutyFree、そしてCryptocom
旅行者向けデジタル決済ソリューションの実現に向けた覚書を締結しました。このパートナーシップ契約は、旅行と商取引の変革という共通の目標に向けた、有望な一歩となります。高度なデジタル決済ソリューションを探求することで、予約から小売まで、あらゆるタッチポイントにおける旅行者の体験を向上させるとともに、ドバイのD33アジェンダに沿い、イノベーションとスマートエコノミーのグローバルハブとしての地位を強化していきます。
対応予定の通貨には、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)などが含まれる。エミレーツ航空は2022年時点でビットコイン決済の導入を示唆しており、今回の提携はその構想を具体化する一歩といえる。同社は現在、ドバイを拠点に80カ国・地域の148空港へサービスを展開しており、不動産や通信業界に続いて仮想通貨決済を取り入れる主要企業の一社となる。
エミレーツ航空の副社長兼最高商務責任者アドナン・カジム(Adnan Kazim)氏は、「デジタルネイティブな若年層のニーズに応えることが重要」と述べ、仮想通貨導入の背景にある顧客層の変化を強調した。「この戦略的動きは、金融イノベーションの最前線に立つというドバイのビジョンと一致し、顧客にさらなる柔軟性と選択肢を提供する」とも語っている。
ドバイでは、仮想資産規制機関(VARA)を中心に仮想通貨関連の制度整備が進んでおり、今回の決定はそうした都市の戦略に沿ったものといえる。
Crypto.comとの連携による導入体制
エミレーツ航空は、Crypto.comと締結した覚書に基づき、同社の決済サービス「Crypto.com Pay」を自社のグローバル決済インフラに統合することを検討している。
この決済システムは統合に向けて協議が進められており、両社は認知拡大に向けたマーケティング活動にも取り組む方針だ。
小売事業・公共部門への展開
この提携にはドバイ免税店も加わっており、小売部門における仮想通貨決済の統合も検討されている。契約は7月8日にドバイのエミレーツ・グループ本社で締結された。
ドバイ免税店とCrypto.comは、マーケティングや顧客エンゲージメント施策に協力して取り組む。Crypto.comはすでに4,000以上の加盟店と提携し、20種類以上の仮想通貨と法定通貨に対応した決済サービスを提供。また、Crypto.comは他分野への展開も進めており、行政や小売業界における仮想通貨決済の導入に向けた動きが広がっている。
エミレーツ航空の取り組みに業界が注目
エミレーツ航空が進める仮想通貨決済の導入は、旅行や航空の分野でも注目を集めている。同社は航空券や機内サービスの支払いに加え、小売事業などでも仮想通貨の活用を広げており、複数の分野にまたがる連携を展開中だ。
特にCrypto.comとの提携により、利便性の高い仮想通貨決済手段が提供されれば、他の企業や航空会社にとっても導入の後押しとなる可能性がある。