FTX破産計画を巡り中国債権者が法廷で反発
FTXが提案する破産返済計画に対し、中国の債権者が法的な異議を申し立てた。
仮想通貨が規制されている国の債権者に対する支払いを一時停止するというFTXの方針は、不公平で差別的だと主張している。債権者のジ・ウェイウェイ(冲薇薇)氏は、自身を含む300人以上の中国人債権者を代表して申し立てを行った。シンガポール在住だが中国のパスポートを保有しているため、対象に分類されたという。
同氏は、「KYC認証済みの口座を4つ保有し、請求額は1,500万ドル(約22億円)超。すべての要件を遵守しており、今回の方針は恣意的で不公平だ」と訴えている。また、中国では仮想通貨が合法な個人財産であり、ドル建てでの返済は法的に問題ないと強調している。
支払い対象外とされる国と法的リスク
FTXエステートは2025年7月2日(水曜日)、仮想通貨規制が不明確または敵対的とされる49の国・地域に住む債権者への支払いを一時停止する動議をデラウェア州の破産裁判所提出 に提出した。
同社は、法的制限を無視して支払いを行えば、FTXリカバリー・トラストや関係者が罰金や刑事責任を問われる可能性があると主張。制限対象国には中国、ロシア、エジプト、アフガニスタン、ジンバブエ、モルドバなどが含まれる。
モルドバでは、仮想通貨関連サービスは補助的であっても犯罪とされることが例として挙げられている。申立てによれば、これらの国の債権者に支払われる予定だった請求額は全体の約5%を占める。
債権者間で生じる不平等の懸念
FTXの方針には、債権者間に不平等をもたらすとの批判があり、その背景には国ごとの規制に基づく運用では、公平な返済が難しくなる恐れがあるためだ。
中国のように広範な規制が存在する国では、正当な債権者の権利が一方的に制限される可能性がある。また、規制環境を理由に支払いを拒否することは、新たな訴訟リスクを招く恐れもあり、FTXの破産手続きは引き続き国際的な注目を集めている。
返済と今後の見通し
FTXは2022年11月の破綻時点の資産価値に基づき、2月からコンビニエンス請求の債権者への返済を開始しており、返済はドル建てで行われ、一部の債権者は仮想通貨による支払いを希望していたとされる。
仮想通貨市場の回復により、ソラナ(Solana/SOL)などの資産は大幅に上昇しており、現金で支払われた債権者はリターンを逃した可能性がある。
回収率は債権者の分類によって異なり、旧ドットコムプラットフォームの顧客は72%、米国居住の顧客は54%、一般無担保債権者およびデジタル資産ローン請求者は61%を回収する見込み。少額債権者向けのコンビニエンス請求は120%とされている。
裁判所の判断がもたらす影響
返済計画は今月中に裁判所の審査を受ける予定であり、中国債権者による異議申し立てがどう判断されるかが注目される。
判決の結果次第では、支払い対象とされる国の取り扱いに波紋が広がる可能性もあり、他国の債権者にも影響を与える可能性がある。規制と債権者の権利のバランスが改めて問われている。