改正資金決済法が成立、「2020年4月」施行へ

改正資金決済法が成立、「2020年4月」施行へ

日本国内における仮想通貨(暗号資産)交換業者等への規制強化を盛り込んだ「改正資金決済法」及び「金融商品取引法」が、31日午前の参院本会議で可決、成立した。2020年4月から施行される見通しだ。

同法では、仮想通貨の利用が決済よりも投機に重きを置かれている実態などを踏まえて仮想通貨の法律上の呼称を「暗号資産」と改めた。G20などの国際会議で用いられる呼称とも合わせた形だ。一方、すでに10年近く用いられた「仮想通貨」の呼称を商号やサービス名に使用している企業も多く、「暗号資産」が一般利用者に浸透するかは不透明だ。

また、従来は明確な規制がなかった仮想通貨(暗号資産)の取引ルールについても相場操縦や風説の流布といった行為を禁止。ウォレット業者も暗号資産交換業登録の対象に加えて弁済原資の確保を義務付けた他、ICOについては金融商品取引法の規制対象として明確化するなど、投資家保護を徹底するとともにマネロン対策も強化した。

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こうした法整備が進むことによって仮想通貨の社会実装がより一層深まることが期待されるが、今回の改正はそうした仮想通貨の発展のためだけに行われたわけではない。

実は、今年の秋にはマネーロンダリング対策を推進する国際機関「金融活動作業部会」(FATF)の対日審査が予定されている。日本がマネロン対策を十分に実施できているかを審査するわけだが、前回2008年の審査では日本のマネロン対策は甘すぎると厳しく指摘を受けた経緯がある。

こうした指摘を受けて犯罪収益移転防止法が改正されたが、2014年には再びFATFから法整備の不備を指摘され再度同法の改正を余儀なくされるなど、この分野における日本の対応は常に後手に回っていた。今年の対日審査においても同様の結果が出れば、日本は「マネロン天国」として国際社会からの信用が大きく棄損されることになりかねない。

そうした危機感の中に、近年成長が著しくマネロンへの悪用も指摘される仮想通貨(暗号資産)への規制強化という文脈はあるのだ。

しかし、ただ後追いするだけではない。既存の金融分野では後手に回ってきた日本だが、安倍政権としては大阪・福岡で開催されるG20を前に世界に先行する形で法整備を終え、これを機に世界の仮想通貨(暗号資産)規制をリードしていきたい狙いもある。

中国のように仮想通貨を全面的に禁止したり排除したりしていく規制を行う国があるのに対し、日本の仮想通貨(暗号資産)規制はイノベーションと向き合いつつ、投資家保護や犯罪防止の観点から国が監督していくという姿勢を示している点に大きな違いがある。

新しい法制度の下で、仮想通貨(暗号資産)の健全な市場発展が更に進むことが期待される。

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仮想通貨投機の熱気に陰りが見え始めた2017年の暮れ頃から仮想通貨に関わり始め、投機よりも実用面に高い関心を持つ。国産仮想通貨プロジェクトやWebサービスの運営に携わりつつ現在に至る。