米NY州、「独自デジタル通貨」を提案
米ニューヨーク州議員らとコーネル大学の教授が、独自のデジタル通貨の導入を検討しているようだ。提案書によって明らかになったデジタル通貨は、地域限定通貨として機能し、P2Pの支払いプラットフォーム「Inclusive Value Ledger」によって運用が構想されている。
提案書に記載されている独自デジタル通貨は、限定地域で一般市民が商品やサービスの交換通貨として使用される。また、支払いはP2Pが活用されるが、デジタル通貨は分散型台帳にてNY州が管理することで通貨使用時の手数料をなくすという。今回のデジタル通貨を提案したコーネル大学のロバート・ホケット教授は、この支払い構想を世界中で使用されているPayPalやApplePayを例に挙げ、次のように構想の違いを指摘した。
「PayPalなどの最も一般的なデジタル支払いシステムでは、ユーザーはアプリの残高または銀行口座を使用して無料で送金できます。しかし、これらのサービスは、即時の銀行振込およびクレジットカード取引の処理料金を請求するため、誰もが簡単で無料の即時の経済的交換を利用できるわけではありません。不安定な財政状況では、自由かつ即時に送金する能力が重要になる場合があります。」
米国はクレジット大国として知られているが、実際は、推定1400万人の成人が銀行口座を保有していないという。また銀行のローンサービスなどを使用して衣類、家賃、医療費などの必要最低限の資金を費やしている傾向も見られ、独自デジタル通貨の構想には、安定的な経済成長を刺激する目的もあるという。
最近では経済大国である中国が、ブロックチェーン技術や独自デジタル通貨を政府や銀行が主導となって取り組んでいる。世界トップのデジタル通貨への促進を目指す中国か、規制を整える米国か。両大国の動きが明確に分かれている。