イーサリアム(Ethereum/ETH)の特徴・詳細とは?

現在、時価総額ランキングでビットコインに次ぐ第2位であるイーサリアムはヴィタリック・ブテリン氏によって開発されました。

彼は、ロシア・コロムナに生まれる。父親はコンピューターアナリスト、母親はビジネスアナリストでした。小学生の頃には数学、経済、プログラミングの分野に興味を示し、そのポテンシャルからギフテッドプログラムに編入されます。2012年にウォータールー大学へ進学、コンピューターサイエンスを専攻。イーサリアムの原型となるプロジェクトに趣味で取り組みますが、次第に学業以上に時間を割くようになり、2014年にピーター・ティールが運営するティール・フェローシップを受け、自主退学します。

イーサリアムを形作る思想をまとめたホワイトペーパーを発表。2014年2月に実装された最初のプロトタイプをリリースしました。

現在のイーサリアムプラットフォームはdApps(分散型アプリケーション)と深いつながりがあり、イーサリアムのプラットフォームではすでに1000以上のdAppsがあります。dAppsのプラットフォームであるイーサリアムでは、dAppsを稼働させてそれを多くの人に利用してもらうことで、イーサリアムの価値は高まっていくということになります。

イーサリアム(Ethereum/ETH)の最新価格・相場・チャート・評価



イーサリアム(Ethereum/ETH)の特徴・詳細とは?

そもそもイーサリアムとは

イーサリアムはビットコインと同じく非中央集権の通貨であり、証券には該当しないと言われています。

しかし、ビットコインは決済目的を基本として作られた通貨であり、イーサリアムはdAppsプラットフォームを目的として作られた通貨であるという違いがあります。

ビットコインの場合、投資目的以外には店舗やネットなどでの決済に使われることがほとんどです。しかし、イーサリアムは決済に使用されることはほとんどなく、dApps(分散型アプリケーション)を作成するプラットフォームとして使われています。

イーサリアムの歴史について

The Dao事件(イーサリアムのハッキング)

この事件はドイツのSlock itが始めた『The Dao』というサービスの脆弱性をつかれ、50億円以上ものイーサリアムがハッカーによって盗まれた事件のことです。

これは、イーサリアムのサービスの1つであるDistributed(Decentralized) Autonomous Organizationの略語で、自律分散型組織というサービスに問題があり、起こった事件です。イーサリアム自体に問題があったわけではありません。

自律分散型組織とは、従来の中央集権的な組織とは異なりブロックチェーンで管理された改ざんできないプロトコルによって組織(サービス)が人の手を介さずに機能するものでこれをDaoと呼んでいます。

Tha Daoでは、投資先の意思決定に賛同できない場合、自分が出資した資金をThe DAOが出資金を管理するアドレスから切り離し、自分が管理するアドレスに移すことができました。これをsplit機能と呼んでいます。

この機能を悪用して送金バグを起こし、何度も送金を重ね、約50億円相当のイーサリアムが盗まれました。

この対応策として三つの案が提議されました。

  • 何も対策をしない
  • ソフトフォークを行う 攻撃者のアカウントを凍結する。しかし、被害者には返金されない。
  • ハードフォークを行う 盗難にあう前の取引に戻す。被害者にイーサリアムが返金される。

そこで、多くの有識者の賛同を得て、ハードフォークが実施。

これにより、「そもそもDAO事件というハッキング事件は起こらなかったもの」として事件は解決に向かいました。

しかし、「イーサリアムの介入は、非中央集権的な仮想通貨の理念に反する(ハードフォークが中央集権的な介入ということ)」として、一部のコミュニティが反発し、最終的にコミュニティが対立して、元は一つであったイーサリアムが、ハードフォークを主張したEthereum(イーサリアム)と、何もしないことを主張したEthereum Classic(イーサリアムクラシック)に分裂し、イーサリアムクラシックが誕生しました。

ETHの最大の特徴であるスマートコントラクトとは?

スマートコントラクトとは、自動化された契約のことを意味します。従来はさまざまな契約を書面で行っていますが、スマートコントラクトを活用することで自動的に安全で不正のない契約を行うことが出来ます。

さらに、第三者機関からの信用を担保に行っている社会システムですが、スマートコントラクトを活用することで全て自動で行われるため、コストの削減にもつながります。

車を購入するときや会社での契約までビジネスからプライベートにおけるさまざまな分野での活用でき、今後の更なる導入が期待されています。

イーサリアムプラットフォームのdAppsとは?

dAppsとは分散型アプリケーションのことであり、中央管理者がいなくても自律して稼働する、ブロックチェーン技術を利用したアプリケーションのことです。

ブロックチェーン技術などを利用したdAppsでは、中央管理社がおらず、ユーザーがみんな同じデータを共有します。よって、サーバーダウンや不正が出来なくなります。

このdAppsをより使いやすくしているのがERC20という規格です。これはイーサリアムプラットフォームでトークンを発行するときにこの規格に沿って作られた通貨をERC20トークンと呼びます。

ERC20を用いる事で非中央集権プラットホームブロックチェーンであるイーサリアムをより人々が利用しやすくなります。ERC20という共通仕様のトークンがあれば同じウォレットで異なる名前のトークンをやり取りできますのでDappsをより皆が利用しやすくなります。

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イーサリアムdApps一覧はこちら

イーサリアムの取引ノウハウとポイントを解説

イーサリアムだけでなく、仮想通貨全体に言えることとして、ハッキングリスクを極力減らすことが一番大切です。Binanceのようなハッキングされた際に保証してくれる取引所も出てきてはいますが、保証といっても一週間は取引できずロックされることがほとんどです。

取引以外はイーサリアム専用の分散型ウォレットに入れておくことをおすすめします。

おすすめのウォレットは次の3つが主流として使用されています。

  • MyEtherWallet:日本語対応しており、オフラインでの管理が可能。
  • Ledger Nano S:セキュリティ面での評価が高く完全オフライン。
  • Ginco:日本発のウォレットなので使いやすく、イーサリアムベース以外の通貨も管理できる。

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取引所からわざわざ移動させるのが面倒という人がほとんどだと思いますが、盗難にあってから後悔するよりは面倒でもウォレットに移しておく事をおすすめします。

イーサリアムのアルゴリズムについて

ETHのマイニングアルゴリズム「Ethash」とは?

Ethashとはイーサリアムのマイニングに独自設定されているアルゴリズムです。最も大きな特徴の一つに「ASIC耐性」という技術が存在しています。

ASICマイニングは特定の人用途として使用される為、とても高価で開発が困難である事からマイニングの集中化が生じてしまいます。これに対して、EthashではGPUというASICよりも入手しやすい機械でマイニングが行う事が出来ます。

更に今後イーサリアムはPOW(プルーフオブワーク)からPOS(プルーフオブステーク)に移行を予定しています。

POWはProof=証明をWork=仕事(計算)という意味であり、計算つまりマイニングによって証明するということです。これが現在のイーサリアムやビットコインなどさまざまな通貨に用いられています。

これに対して、POSはコインの保有量の証明になります。POWは計算によって取引を証明するのに対して、POSは通貨の保有量の多い人が証明するということです。

これは通貨の保有量が多い人が不正をしないという事を担保としています。不正を行えばその通貨の価格は下がります。保有量が多い人がわざわざ価格を下げるような事はしないということです。

POS移行により、電力の消費などコストをかける必要がなくなる一方、インカムゲインが入る事による流動性の低下が懸念されています。

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キャスパーとシーディングについて

Casper(キャスパー)とは、イーサリアムがPoWからPoSへ移行する際に新しく実装される独自のアルゴリズムであり、それはイーサリアムのアップデートにおける最終段階の「セレニティ」で実装予定となっています。

この計画をキャスパーと呼んでいます。

2018年4月にCasper FFG(Friendly Finality Gadget)を発表し、これによってまずPoWとPoSが組み合わさるハイブリッド型へと変更となります。

しかし、ビットメイン社がイーサリアム対応のASICマイニングを開発したため、新しくCasper CBC(Correct By Construction)を発表しました。

このCasper CBCはイーサリアムの創設者の一人であるVlad Zamfir氏によって考案されたものであり、PoSの安全性を高めて100%PoS採用する為のプロトコルです。 これにより完全にPOSに移行します。

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シャーディングとは、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するための1つの方法です。

これはブロックチェーン上にあるノードをシャードと呼ばれる複数のノードからなるグループにランダムに分割します。各シャードが割り当てられたトランザクションのみを処理します。これにより効率よく、トランザクション処理ができるため、スケーラビリティ問題の解決へとつながります。

シャーディングはPOSへ移行することを前提として設計されています。これはPOWのような強いハッシュパワーを持った悪意あるユーザーがいると51%攻撃を容易にできてしまうためです。

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イーサリアムの評価まとめ

イーサリアムの今後とは

去年はイーサリアムのプラットフォーム上でのICOが盛んに行われ、それに伴いイーサリアムの価格もかなり上昇しました。

ICOでの資金調達をイーサリアムで行うことが多く、まだ需要はあると考えています。

また、dAppsは今後更にさまざまな分野で活用されていくことが予想されます。特にゲームの分野では、大手ゲーム企業などがdAppsでのゲーム開発を行っていくことが予想されます。

イーサリアムの未来はどうなるのか?

現在では、EOSやNEOなどプラットフォーム系の通貨が出てきています。その中でもイーサリアムの強みはERC20トークンの作成が容易なことや時価総額ランキングで2位に位置しており、知名度が高いこと、さらにロシア政府がヴィタリック氏をバックアップしていることなどが挙げられます。

そして、最近流行りつつあるSTO(セキュリティトークンオファリング)のプラットフォームであるPolymathもイーサリアム上で発行されたトークンであり、STOの資金調達も基本的にETHで行うことになります。今後、STOブームが到来した場合、間違いなくイーサリアムの価格も上昇します。

更に、来年にはPOS移行も予定されており、今後もかなり期待できるでしょう。