bitcoinに代表される仮想通貨は2017年から市場規模を拡大し、多くの人の耳に届くようになりました。
Ethereumをはじめとするアルトコインは、その種類の多さからその技術や特徴を把握するのは難しいです。今回はそのアルトコインの中から、「トロン(TRX)」について紹介させていただきます。TRONは2017年にICOを実施し、一気に価格を上げた仮想通貨の一つです。
TRONは世界的なエンターテインメントシステムの構築を目指しています。クリエイティブなコンテンツを、多くのユーザーが享受出来るようなサービス提供を目的としています。これが実用化されれば、腕のあるクリエイターが埋もれることのない社会が現実されます。
また2018年5月31日にメインネットローンチを行ったことでも話題となりました。そな仮想通TRONは、どのような特徴があり、どういう経緯で今に至ったのか、そして今後どうなっていくのかについてまとめまていきます。
目次
トロン(TRON/TRX)の最新価格・相場・チャート・評価
トロン(TRON/TRX)の特徴・詳細とは?|世界中にエンターテイメントプラットフォームを提供する仮想通貨
トロン(TRON/TRX)とは?
トロン(TRX)は「TRON財団」というチームによって開発された、比較的新しく公開されたプロジェクトです。RON(TRX)は、2017年8月に中国の大手仮想通貨取引所BINANCEにてICOが行われ、開始後、約50秒で販売枚数300,000,000 TRXが完売するという大盛況ぶりをみせた人気のプロジェクトです。
開発当初はEthereumブロックチェーン上のスマートコントラクトでトークンを発行していましたが、2018年5月、独自ブロックチェーンへメインネットローンチを開始しています。
また、TRONはただ人気のトークンであっただけでなく、提供するサービスの特徴や創始者の背景など、様々な要因により人々がこの仮想通貨に注目を集めています。また、ただ興味深いプロジェクトというわけではなく、一部ではスキャム(詐欺)なのではないかという疑惑もあります。それらを含め本項ではTRONの特徴と詳細を紹介いたします。
トロン(TRON/TRX)の4本柱
そしてTRONのプラットフォームには次のような4つの大きな特徴があります。
- データの開放
無料、無制限で音楽や文字、写真などのコンテンツを保存し、普及させることが可能 - コンテンツの有効化
コンテンツを提供することでトークンが報酬として得られる - パーソナルICO
コンテンツホルダーが自由にICOすることが可能 - インフラストラクチャー
分散型取引、オンラインゲームなどのプラットフォームを構築出来る。
分散型の公平なインフラが準備されている。
これらによって、個人によるデジタルコンテンツの発信がより身近なものになりクリエイターもエンタメを楽しみたい方にとってもWinWinな社会が実現されます。
TRON創始者ジャスティン・サン
TRONの大きな特徴の一つにその創始者の存在があります。創始者であるジャスティン・サン氏は北京大学、ペンシルべニア大学の両方を卒業、その後、Ripple(リップル)の中国地区の事務所長として資金調達などを行っています。
また、本記事でも扱っているTRONを開発した「TRON財団」のCEOでもあり、音楽ストリーミングサービスである「PEIWO」でもCEO。さらに、超大手マイニンググループ「BITMAIN」の創始者でもあるのです。
音楽ストリーミングサービス「PEIWO」
TRON創業者、Justin SunがCEOを務める「PEIWO」でもTRONのネットワークが導入されることが発表されました。PEIWOは中国で人気の音楽ストリーミングサービスで、こちらもユーザー数は約1000万人を誇ります。
TRON公式ミディアムサイトには次のように説明されており、規模の非常に大きなプラットフォームでありながら、TRONによる取引も可能になっています。
”Peiwo APP is the largest voice content community in China and the world. The current number of registered users has exceeded 10 million, and the monthly active users have exceeded 1 million. 80% of the users are under 28 years of age, and the number of users per day has exceeded 5 million.”
「PEIWOは中国、そして世界で最大の音声コンテンツコミュニティーです。最近の登録者数は1000千万人を超え、月ごとにアクティブユーザーは100万人以上増え続けています。また、80%以上のユーザーは28歳以下でユーザー数は一日当たり500万人以上増え続けています。」
ETH創始者ヴィタリックがTRONを批判
しかし、いい噂ばかりではありません。
ツイッター上でジャスティン・サン氏本人が、Ethereumを批判し、そこから議論を巻き起こした事もありました。
Why #TRON is better than #ETH: 1. 10000TPS vs. 25TPS 2. zero fee vs. high fee 3. consistent Coinburn vs. no coinburn 4. Java vs. Solidity 5. strong extensibility vs. no ex. 6. 1 billion USD developers rewards vs. no plan 7. 100 million users vs. small number #TRX $TRX pic.twitter.com/WvxH5EToa8
— Justin Sun (@justinsuntron) April 6, 2018
上のツイートのように、なぜTRONがErtheriumよりも優れているのかという事を1から7項目まで羅列しました。
これに対して、Ertheriumの開発者である、ヴィタリックブリテン氏は厳しい返答をしました。
8. Better white paper writing capability (Ctrl+C + Ctrl+V much higher efficiency than keyboard typing new content)
— Vitalik Non-giver of Ether (@VitalikButerin) April 6, 2018
後述しますが、TRONのホワイトペーパーは詐欺まがいの疑惑があり、ブリテン氏はそれを指摘し、議論は燃え上がりました。
このように、サービスだけでなく様々な形で注目を集めているといえます。
トロン(TRON/TRX)の目的
しかしながら、TRONが注目を集めるのは話題だけでなく、行なうサービスが斬新であったという側面があります。
TRONの目的は、世界中のアーティストやデジタルコンテンツの製作者を支援することにあります。TRONが持つ分散型プロトコルに誰でも、映像や音楽などの作品をアップロードできるという意味になります。
これまで、そうしたプラットフォームは企業が提供していたものでした。YouTubeやPixivが例になります。
例えば、動画クリエイターは自身で動画を製作したのち、YouTubeというプラットフォームに動画を投稿し、ユーザーがそのプラットフォームにて動画を見ることでYouTubeからクリエイターに収益が入るシステムでしたが、TRONの場合はそのような仲介を挟むことなく、クリエイターとユーザーを直接つなぎ、これまで埋もれていたクリエイターに日の目を当てることを目的としているそうです。またこのプラットフォームにおいてコンテンツクリエイターは著作権を自身で持つことができます。
トロン(TRON/TRX)のスキャム疑惑とは
そのような素晴らしいサービスを提供しているTRONですが、上記で述べたように実はスキャムなのではないかという疑惑が出ています。先ほどのイーサリアム(ETH)創業者ヴィタリックブリテン氏が指摘していたように、TRONのホワイトペーパーは、約9ページ分が、「IPFS」と「Filecoin(ファイルコイン/FIL)」のホワイトペーパーからの盗作と言われています。
これは、上記2つのホワイトペーパーを手掛けたJuan Benet氏によって最初に指摘されました。
これに対し、ジャスティン・サン氏は中国版(オリジナル)をボランティアが翻訳した際のミスだと反論していますが、ホワイトペーパーには一切参考文献が記載されておらず、公式ページからはそのホワイトペーパーは削除されていました。これだけでスキャムと判断しきることはできませんが、その他のプロジェクトに比べて信用は落ちてしまいます。
トロン(TRON/TRX)の評価まとめ
トロン(TRON/TRX)のこれまでの実績
現在TRONは動画音声ストリーミングサービスである「PEIWO」とシンガポール発の自転車シェアリングサービスである「OBIKE」にて提携しています。両サービスともに1000万人以上のユーザーを抱えるサービスであり、実用化へと向かっていることがわかります。
またTRONはOKExという中国で最大の取引所の一つへ上場を果たしています。
トロン(TRON/TRX)の今後
これまでTRONはスキャムなのではないかと疑われることもありましたが、PEIWOのリリースや独自ブロックチェーンへの移行により、一定ユーザーに対して開発の進捗を見せることに成功しているといえます。またOBIKEという多くのユーザーを抱えるサービスとの提携もあり、勢いはついています。
今後もサービスを拡大していければ大きく成長できるといえます。