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ルームネットワーク(LoomNetwork/LOOM)の特徴・詳細|DAppsゲームでブロックチェーン啓蒙を狙うプロジェクト
Loom Network(ルームネットワーク/LOOM)は、発行枚数10億枚。2018年3月14日に上場したDAppChains採用の分散型アプリケーションプラットフォームです。ホワイトペーパーを作っておらず、ICOもしていないという珍しいパターンで進められているプロジェクトです。Loom Networkのブロックチェーン技術に関心を持つ人が、そのプラットフォーム上にて動作するソフトウェアを作成したり運営したりできるようにすることを目的としています。
なお、DAppsゲームは、ゲーム内ルールやアップデート内容を投票で決められ、場合によってはその可否でゲームが分裂したりするという、あの忌々しい仮想通貨のフォークを遊べるというエキサイティングな可能性を持っており、注目されている分野です。
プラットフォームとしてはERC20互換のトークンとなり、ブロックチェーンにサイドチェーンを持たせるというDAppChainsを採用することで、スケーラビリティ問題を解決しているとしています。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンのブロック規模の制約により、取引量が巨大になったことで処理が追い付かなくなる問題のことです。従来のイーサリアムのDAppsでは、コントラクトをメインチェーンに置いており、細かい取引にもセキュリティ維持のため慎重な合意形成をする仕組みになっていました。このことで処理の詰まりが頻発してしまい、DAppsは、ゲームや軽微なツールなどライトなソフトウェアアプリケーションに利用するのには大仰なものとなってしまっていました。
Loom Networkの採用したDAppChainsは、コントラクトをメインチェーンではなくサイドチェーンで行うことで、大仰なトランザクション処理を別の場所で行うことで、処理速度を上げることに成功しました。なお、記録されるトランザクションは、Relayという方法でサイドチェーンとメインチェーンで情報共有することが可能です。
ところで、Loom Networkは、DAppsの仮想通貨プロジェクトEOSへ大きな意識があり、目標としているようです。Loom Network公式サイト内に下記の文言があります。
「In short, you can think of Loom Network as EOS on top of Ethereum」
(簡単に言うなら、Loom Networkはイーサリアム上で動くEOSだと考えられる)
EOSは言わずと知れた仮想通貨の中堅コインで、こちらもトランザクション処理が高速であることを持ち味としています。Loom Networkはゲームやツールをきっかけにスケーラビリティ問題を解消するトークンとして時価総額ランキングTOPを視野に入れているのかもしれません。
<ルームネットワーク(LoomNetwork/LOOM)の最新価格・相場・チャート・評価
ルームネットワーク(LoomNetwork/LOOM)の特徴・詳細とは?
Loom Networkは、そのプラットフォームを多くの人に利用してもらうために、キットの提供やハッカソンなど多くの施策を行っています。また、Plasma Cashという技術導入により、処理速度をさらに高速化させることを狙っています。
Loom SDK
Loom SDK(Software Development Kit)は、Loom Network内でスマートコントラクトを利用したアプリケーションを作成するための開発者向けのキットです。
イーサリアムでスマートコントラクトを実装しようとした際、プログラミング言語としてSolidityという独自の言語を使用しなくてはなりませんでしたが、Loom SDKでは、一般的なwebページで利用されているJavascriptという技術者の多いプログラミング言語が利用できるようになっており、開発の裾野広げにトライしています。
また、各種コードやサンプル集を手広く用意しており、最初からDApps系アプリケーションを作り上げるよりも短い時間で効率的に開発を進められるように配慮がされています。
2018年の9月韓国ソウルでは、Loom SDKを使ってDAppsゲームを作るハッカソンが企画され、盛況ののちに終了しました。
Plasma Cash
Plasma Cashが2018年6月30日にLoom Networkのサイドチェーンへ実装されました。Plasma Cashは、ブロックチェーンのサイドチェーンとして、木構造(ツリー構造/階層構造)を作ることによって、スケーラビリティ問題を解決する手法です。簡単に言うと、WindowsやMacなどのPCでのディレクトリ構造でのフォルダ分けのようなものです。ブロックチェーンの情報をフォルダ分けして整理することでトランザクション処理の際の確認・監視範囲を減らすことができます。
データサイズが大きくなりすぎる、メインチェーンとのやりとりが煩雑になるなどの問題があるので、スマートコントラクトを決済や与信などに利用する際はまだまだ開発が必要とされているようですが、ゲーム内の利用では処理速度を優先させるということでしょう。Plasma Cashの実装で、Loom Networkは1秒以下の承認時間を実現できるとされています。
ルームネットワーク(LoomNetwork/LOOM)を使ったDapss
Loom Networkでは、どのようなアプリケーションが提供されているのでしょうか。少し紹介してみます。
Delegate call
Delegate Callは、Loom Networkで最初にリリースされたDAppsアプリケーションです。投稿された質問へ解答するとLOOMがもらえるという仕組みになっています。Yahoo!知恵袋のようなサービスに近いですね。LOOMはもちろん、他の仮想通貨を介して法定通貨へ換金できるので解答を沢山すると大儲けすることもできるかもしれません。
なお、現在はブロックチェーンやイーサリアムについての質問が多く、開発者の質問コーナーとしての運営の意味合いが強そうです。
Crypto Zonbies
Crypto Zonbiesは、オンラインでDAppsゲームの開発学習ができるサービスです。自分でゲーム開発をしながら勉強ができるようになっています。こちらも新しい開発者を増やすことを目的としたサービスだと言えるでしょう。ゾンビのイラストがかわいらしいですね。
Zombie Battleground
Zombie Battlegroundは、トレーディングカードゲームです。レアカードを取引することなどができるようで、こちらもうまくすればゲーム内でLOOM長者になることでリアルにも寄与があるような状態になれるのかもしれません。
ルームネットワーク(LoomNetwork/LOOM)の爆上げ時期
LOOMは、2018年3月に上場して2ヶ月で初値の10倍という価格をつけたことで大きく注目されました。しかしその後は仮想通貨全体の価格下落とともに値下がりし、現在は上場時の半額ほどの価格で推移しています。
まだまだ開発が進んでいないプラットフォームなので、今後の新たな機能追加やゲームのヒット、バージョンアップなどで再び注目され、値上がりすることは十分考えられます。
ルームネットワーク(LoomNetwork/LOOM)の評価まとめ
Loom Networkは、ICOで資金調達もせず、ホワイトペーパーも作っていないプロジェクトです。これをイーサリアムの技術や実績、DAppsの概念はもはや自明なので、そんな現状の中で計画にとらわれずに現場で試行錯誤しながら邁進していく姿勢の表れ、と好意的に解釈する向きが多いようです。ブロックチェーン技術を一般的に普及させるために、言語や市場にとらわれないゲームをチョイスするという戦略も効果がありそうです。
しかし、ベンチャー的なこの方法は、DAppsの理念に反する中央集権的な行為だとも言え、今後Loom Networkが大きくなっていくにあたり、民主制や市場性をどう取り入れていくかが争点となりそうです。
Loom Networkの将来性
前述のとおり、DAppsゲームは注目されている分野です。非中央集権的に発展するゲームはとても魅力的に思えるので、今後多くの企業が参入してくるでしょう。もちろん、DAppsゲームは、Loom Networkのプラットフォームを使わなくても作ることができます。実際に、有名なDAppsゲームである、CryptoKittiesやEtheremonはLoom Network採用ではありません。また、先に紹介した先行ゲームやツールが、多くのユーザーを獲得できているかというと、首をかしげざるを得ない部分もあります。
ご存知の通りゲーム産業は成熟しており、老舗の巨大企業からスマホゲームで隆盛した新興企業まで、ゲームについての知見や運営ナレッジを蓄積した組織は数多くあります。それらの企業がブロックチェーン技術/DAppsを利用したゲーム開発を巨大な資本投入で行う際に、Loom Networkがどのようなポジショニングをとるか、という点は注目したいところです。まだ始まって日の浅いLoom Networkなので、今後の開発発表、提携などで大きく版図を広げる可能性は十分にあります。
また、Loom Networkはイーサリウムの技術を利用して作られているので、イーサリウムの動向にも左右される状態にいます。DAppsゲーム界隈、およびイーサリウムの動向と合わせて、ゲーム好きならLoom Networkの今後には要注目です。