ステラ(Stellar/XLM・STR)の特徴・詳細とは?

キッチュなロケットのロゴがかわいらしいStellar(ステラ/XLM・STR)は、英語で「星のように輝かしい」という意味を持つ、Ripple(リップル/XRP)の創業者がRippleを離れた後にRippleをベースとして開発した、個人間の「インターネットと同じレベルの送金プロトコル」となることを目的とした仮想通貨トークンです。

時価総額ランキングでEthereum(イーサリアム/ETH)とデッドヒートの2位争いを演じているRippleの少し後ろ、4位につけ、もはやアルトコイン界のビッグネームとなっているStellarは、Rippleと似たビジョンを描きつつ、少し違う世界を実現しようと、野心を持って規模を拡大しています。

先日もより多くの方へ使ってもらうことを目的とし、総額1.25億ドル(約140億円)相当・Steller総流通量の2.6%・Stellar総発行量の0.47%となるXLMを、ウォレットを持つユーザーに無料で配布するという太っ腹なリリースで大きく話題になりました。

そんなStellarについて、創設者の詳細、決済システムと採用しているアルゴリズム、Rippleとの相違点などについて詳しく解説していきます。

ステラ(Stellar/XLM・STR)の最新価格・相場・チャート・評価


ステラ(Stellar/XLM・STR)の特徴・詳細とは?|個人間送金プロトコルを目指す、Rippleから派生した仮想通貨

2014年7月に開発公開されたStellarの略号はXML(ルーメン/Lumens)ですが、リリース当初はSTR(ステラ)と呼ばれていました。2015年にアップグレードされた際に、XML(ルーメン/Lumens)へと改名をしたという経緯があります。そのため、古い記事や資料では、STR(ステラ)のままのものもあるかと思いますので注意してください。

Overseas Filipino Worker(OFW)という言葉をご存知でしょうか。フィリピンでは先進国へ出稼ぎに行く海外就労者が多く、その方たちの呼称で、現在はフィリピンに限らず他国への出稼ぎ労働者のことをOFWと呼んだりもするそうです。Stellarがユーザターゲットとしている層は、彼らです。

日本でも現在海外労働者の受け入れについて国会やマスコミなどで活発な議論が行われていますが、Stellarは彼ら海外から他の国へ出稼ぎに来た労働者が、自国へ送金する際のプラットフォームになることを目的としています。

このことから、広く浅く利用されるコインとなることを想定しており、そのことは発行量にも表れています。Stellarはリリース時に1000億枚が発行され、その後毎年1%ずつ増加させていくという方法を採用しています。より使用されるためにじゃぶじゃぶと市場にコインを流通させる方法です。

ステラ(Stellar/XLM・STR)の創設者

Stellarを創設したのは、アメリカの起業家でありプログラマーであるJed McCaleb(ジェド・マケーレブ)氏です。現在は多額のRippleを保有している大富豪であり、仮想通貨の歴史を語るうえで欠かせない成功者です。

氏はもともと、400万人のユーザー利用もあったというP2Pのファイル共有サイトeDonkeyの開発・運営をし、分散化システムや個人間の情報取引およびその民主制に知見のある開発者でした。決済について非中央集権的なシステム構築は不可能だと考えていましたが、サトシナカモトの論文に衝撃を受け、Bitcoinがどのようにやりとりされるのかを実際に知るために当時運営していたトレーディングカードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」のカード売買サイトを発展させ、Bitcoinの取引所を開設します。そのサイトの名前は、Mt.GOXでした。

ご存知の通りMt.GOXはハッキングによって破綻してしまいました(既にマーク・カルプレス氏に売却済だったため、事件当時のマケーレブ氏はMt.GOXの少数株主だったという程度のかかわりとのこと)。マケーレブ氏はその後、アルトコインの開発に着手し、Rippleを創業します。しかし、Rippleの技術面や、Ripple財団のガバナンス体制などに不満を持ったマケーレブ氏は、2014年にRippleを離れ、Stellarの創業に至ったのです。

Stellarは創業時に約3億円もの資金調達がされ、WordPressの創業者のMatt Mullenweg氏、スタートアップ向け情報サイトであるAngelListの創業者のNaval Ravikant氏、スタートアップ企業への投資会社Y combinator社長Sam Altman氏、ネットでの決済サービス会社StripeのPatrick Collison氏などのそうそうたるメンバーがアドバイザーとしてアサインされました。

ステラ(Stellar/XLM・STR)の決済システム

Stellarは、Rippleの派生とも言える仕組みで開発されたため、決済システムもとても似ていますが、大きな違いがひとつあります。それは、送金を行うユーザーの対象です。Rippleが銀行間での国際送金を主な用途として開発を進めているのに対し、Stellarは、個人間での少額送金を念頭に開発されています。

個人の扱う少額での決済や送金に特化することで、取引の承認速度高速化を実現しており、スマホからの操作で国際間・個人間でのやりとりをスピーディに行える設計になっています。

なお、面白い特徴として、Stellarをやり取りするためにアカウントを作成するのにFacebookの認証が必須となっていることがよく挙げられます。これは中国の投機的な資金が入ってきてStellarが暴騰してしまうことを回避するために、中国で利用の禁じられているFacebook認証を導入することにしたと言われています。

Stellar(ステラ)の独自アルゴリズム「SCP」

Stellarの採用している承認プロトコルは、SCP(Stellar Consensus Protocol)と呼ばれている独自のものです。このアルゴリズムは、Rippleの採用しているアルゴリズムXRP Ledgerをベースに開発されました。

SCPの最も大きな特徴は、「バリデーダー」と呼ばれる取引の承認者を他の参加者の投票で決定していく仕組みを持つことです。一般的にトークンの取引承認は、不特定多数のユーザー同士で行われますが、そのせいで手続きが遅くなってしまいがちです。SCPではその承認者を投票という民主的な方法で絞り、かつ取引の速度を上げることを狙っています。

また、Ripple採用のXRP Ledgerにもバリデーダーの概念はあるのですが、こちらは80%以上の合意がないと取引承認がされず、80%以下ではコインがフォークしてしまうという問題がありました。SCPはその点を改良し80%以上の合意が無くても承認が行われるようにしており、ブロックチェーン分岐のリスクを回避しています。

ステラ(Stellar/XLM・STR)の評価まとめ

過去チャートの推移として、StellarとRippleが連動していることは特筆すべきことです。Rippleの価値が上がると、Stellarもつられて上がり、その逆もしかりです。今後Rippleで何か問題が起こった際に、Stellarもとばっちりを受ける可能性はあります(例えば、取引所へのハッキングなどで多額のXRPが盗まれるなど)。このことは留意しておくとよいかと思います。

Stellarの位置付けはとても複雑で、多角的に見ていかないと本質が見えない部分があります。そんなStellarは今後どう評価されていくのか。実績と未来について、まとめて考えてみましょう。

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2018.11.06

ステラ(Stellar/XLM・STR)のこれまでの実績

Stellarは国をまたいだ個人間のマイクロペイメントを念頭に開発されているため、webでの決済や金融関連の企業との提携を多く進めています。

前述のアドバイザーとしての関与もある、決済サービスのStripe、言わずと知れた巨大コンピュータ会社IBM、金融コンサルティングファームのデロイトトーマツ、フランスの送金企業TEMPOなどがそれで、取引コストの削減など着々と実績を積んでいます。

なお、先日Facebookとの提携して取引所を立ち上げるといううわさが出ましたが、こちらはデマだったようです。

Facebookが仮想通貨ステラとの提携を否定

2018.08.12

ステラ(Stellar/XLM・STR)の今後

今後、Stellarはどのように普及していくでしょうか。

出稼ぎ労働者の多い国であるフィリピンは、銀行口座を保有していない個人が人口の半分以上もいるそうです。出稼ぎで他国に行った労働者が、稼いだお金を家族へどう送るか、という「瞬間」にStellarが利便性の高い橋渡しをすることができれば、Stellarの価値は一気に跳ね上がるでしょう。実際にフィリピンの金融機関との提携は着実に進んでいます。

しかしもちろん、Stellarだけでなく数多の仮想通貨や新技術やが「その瞬間」を狙っています。そのため、いろいろなビジネス観点、世界情勢観点でStellarのあり方や模索経緯を観察していくことが必要だと言えます。

Stellarは、金融機関やSNSなどのソフトのレイヤーでの展開は進んでいますが、スマホなどの端末側やIoTのようなプロダクトの技術群との連携はまだまだのように見えます。また、Facebookの認証で、世界最大人口を誇る中国のユーザをシャットアウトしている点も、規模拡大という面ではデメリットと言わざるを得ないでしょう。しかしこれは逆に言えば、中国をシャットアウトしている状態でこれだけの時価総額となるほどの信頼があるとも評価できます。

Stellarの未来には、これからも目が離せません。