北朝鮮がUSDCを不正決済に利用か
ブロックチェーン調査員ZachXBT氏は、北朝鮮のIT労働者がサークル(Circle)のステーブルコインUSDコイン(USDCoin/USDC)を不正決済に利用していると主張した。
オンチェーン調査員のZachXBT氏は、サークル社のコンプライアンス基準と、悪意あるアクターによる利用増加について懸念を表明。同氏は、制裁対象国である北朝鮮がサークルのUSDCを使用しており、その活動を凍結するために「何も」していないと指摘。同社は、6月のIPOに続き、米国銀行免許の申請を行っている最中に、この事実が明らかになっており、同社株はすでに売り圧力に直面し、過去1週間で28%下落している。
北朝鮮IT労働者がUSDCを不正送金に利用か
同氏によると、北朝鮮のIT労働者はUSDCを不正送金に利用しているという。
この指摘は、同社が最近、USDCを裏付ける準備金の管理を認可する国家信託銀行の認可を申請したことを受けてのものだ。同氏はCircleの対応を批判し、資金の流れの規模と可視性にもかかわらず、同社は活動の抑制や関連するウォレットの凍結といった措置を一切講じていないと主張し、「彼らはコンプライアンスを誇示しながら、活動の検知・凍結には一切取り組んでいない」と述べている。
同氏は、厳格なコンプライアンス手順を遵守していると主張しているにもかかわらず、同社が不正行為を検知・停止する措置を講じていないことを批判。北朝鮮の悪意あるサイバーアクターは、偽の身元を使って遠隔地の技術職に就き、無防備な組織のインフラにアクセス。最近の取引量は8桁台に上り、そのほとんどがUSDCだと同氏は主張し、数百万ドルがネットワークを無制限に流れていることを示唆した。同氏は、これは「犯罪のスーパーサイクル」であるため、現時点では誰も気にしないだろうと述べている。
長年にわたってサークルのライバルであるテザー(Tether/USDT)は、監視体制の不備から違法取引を助長しているとの批判を最も多く浴びている。対照的に、サークルは業界のコンプライアンスリーダーと見なされ、主要な規制当局からライセンスを取得し、よりクリーンなイメージをアピールしていた。そのような中なか、同社が対策を講じなかったと報じられていることは、テザーや他のステーブルコイン発行者が同様のケースでウォレットを凍結し、疑わしい資金移動をブロックした対応とは大きく対照的だ。
ちなみに、サークル社はこれらの疑惑を公に認否を明らかにしていないものの、制裁対象者の活動を監視なしに許可していたという報道は、同社の評判に大きな打撃を与えるだろう。