仮想通貨推進を継続、IMFとの対立が鮮明に
エルサルバドル政府は、2025年5月上旬に8ビットコイン(Bitcoin/BTC)を国家準備金に追加した。
これにより同国の保有量は6,173BTCとなり、評価額は6億4,100万ドル(約948億円)を超えている。この数字は、政府直属のビットコイン・オフィスにより公表された。ナジブ・ブケレ大統領の政権は、仮想通貨を国家戦略の中核に据える一方で、2024年12月には当NEXTMONEYの2024年12月19日付特集記事「エルサルバドル、ビットコイン受け入れ任意化でIMFと14億ドルで合意」でも報じているように、IMFと14億ドル(※当時レートで約2,175億円)の融資契約を結び、公共資金によるビットコイン購入を停止するという条件にも合意していた。
この技術覚書では、政府傘下のホット・コールドウォレットの保有および運用も制限対象となっており、Chivo Walletやビットコイン資金管理庁、リオ・レンパ水力委員会、ビットコイン・オフィスなどが該当。また、2025年1月にはビットコイン法定通貨法の廃止案が議会で可決されたものの、その後撤回され、ビットコインは引き続き国内で合法とされている。ただし、取引での使用義務は撤廃された。
IMFとの協定に反する動き
今回の購入は、IMFとの合意に真っ向から反する動きとして国際的にも注目されている。
IMFは3月にも改めて購入停止を求めたが、ブケレ政権はこれに応じず、仮想通貨政策の継続を強調した。政府はこの件に関して公式な声明を出していないが、ビットコイン・オフィスによるオンチェーンデータの開示から、国家としての購入姿勢が継続されていることが明らかとなっている。同オフィスは、ウェブサイトやSNSを通じてビットコイン保有状況を定期的に公表している。
エルサルバドルは、2022年11月に「1日1ビットコイン」政策を掲げて以降、2025年に入っても日々の購入を継続している。資金状況によっては1BTC以上を購入する日もあり、リアルタイムでの公的資金投入は現在も継続中だ。
ブケレ大統領の姿勢と波紋
ナジブ・ブケレ大統領は、仮想通貨推進の姿勢を一貫して維持しており、3月5日には自身のXアカウントで次のように投稿している。
“This all stops in April.” “This all stops in June.” “This all stops in December.”
No, it’s not stopping.
If it didn’t stop when the world ostracized us and most “bitcoiners” abandoned us, it won’t stop now, and it won’t stop in the future.
Proof of work > proof of whining https://t.co/9pC0PoY3YQ
— Nayib Bukele (@nayibbukele) March 4, 2025
「これはすべて4月に停止します。」 「これはすべて6月に停止します。」 「これはすべて12月に停止します。」
いいえ、止まりません。
世界が私たちを排除し、ほとんどの「ビットコイン支持者」が私たちを見捨てたときにそれが止まらなかったのであれば、それは今も止まらないし、将来も止まらないだろう。
作業証明>泣き言の証明
この発言は、国際的な金融専門家や投資家の間で波紋を呼んでいる。ビットコインへの過剰な依存が財政の不安定化を招くとの懸念が広がる一方、仮想通貨業界の一部からは「国家による先進的な挑戦」として評価する声もある。
一部のアナリストは、ブケレ政権の取り組みが他新興国の政策に影響を与える可能性があると指摘。エルサルバドルは、公的資金を用いてビットコインを日次で購入する世界唯一の国家であり、その動向は今後の仮想通貨政策の試金石として注目され続けるだろう。