ビットコインSV投資家、上場廃止を巡りバイナンスへの訴訟を再開へ

バイナンスとビットコインSVを象徴する3枚の金色トークンが裁判の緊張感を表現するイラスト

BSV上場廃止をめぐる集団訴訟が再燃

仮想通貨ビットコインSV(Bitcoin Satoshi’s Vision/BSV)の投資家らが、仮想通貨取引所バイナンス(Binance)に対する訴訟を再開する構えを見せている。

この訴訟は、2019年にバイナンスがBSVの上場を廃止したことに端を発し、長らく沈静化していたが、再び注目を集めている。今回の動きは、英国の投資家団体「BSV Claims Ltd」が主導しており、バイナンスの対応によって損失を被ったとして集団訴訟を準備中だ。損害賠償請求額は最大100億ポンド(約1.95兆円)に上る可能性がある。

バイナンスの判断とBSVの評価低下

2019年、バイナンスはBSVの上場を廃止した背景には、BSVの創設者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏が「自分こそがビットコイン創始者サトシ・ナカモトである」と主張したことがある。

バイナンスはこの発言を問題視し、BSVが上場基準を満たしていないと判断したと発表。当時のバイナンスCEO(最高経営責任者)ジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏もライト氏の主張に対しSNS上で批判的なコメントを繰り返し、上場廃止の可能性を警告していた。実際の上場廃止後、BSVの価格は大きく下落し、多くの投資家が損失を被った。

投資家側は、バイナンスの決定が市場操作にあたる不公正な行為だったと主張している。また、当NEXTMONEYの2021年8月4日付け特集記事「ビットコインSVが大規模な51%攻撃を受けている事が判明」でも報じているが、BSVはその後複数回の51%攻撃を受けており、ネットワークの信頼性にも疑問が投げかけられている。こうした状況がBSVの長期的な価値低下につながったとして、投資家たちは損失の責任をバイナンスに問う構えだ。

英国で訴訟再開、仮想通貨取引所のガバナンスにも影響か

BSV Claims Ltdは、英国の法制度に基づきバイナンスへの訴訟準備を進めているおり、原告側弁護士は、2024年7月に英国競争控訴裁判所が下した「機会損失」の訴えの棄却判断について再審を求めており、当初の訴訟では約90億ドルの損害賠償が請求されていた。

BSVは、ビットコインキャッシュ(BitcoinCash/BCH)のハードフォークとして誕生し、BCHもビットコインから分岐した経緯を持つ。現在、BTCが約104,000ドルで取引されているのに対し、BSVは約42ドルにとどまっており、この価格差が投資家の不満を後押ししている。

仮想通貨業界では、取引所による上場判断がプロジェクトの将来を左右することがあり、今回の訴訟は取引所ガバナンスや上場基準の透明性を問う前例として注目されている。今後の審理次第では、投資家保護の在り方にも影響を与える可能性がある。

ビットコインSVが大規模な51%攻撃を受けている事が判明

2021.08.04

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム