ストライプ、Paradigmと提携し決済特化型レイヤー1「Tempo」を構築

抽象的な円形ネットワーク構造を描いた美麗なデジタルアート、Tempoブロックチェーンの象徴的イメージ

決済インフラ強化へ新基盤を始動

決済大手Stripe(ストライプ)は、ベンチャーキャピタルのParadigm(パラダイム)と提携し、決済に特化した新たなレイヤー1ブロックチェーン「Tempo」を開発した。

Solidity (ソリディティ)(※EVM=イーサリアム仮想マシン上でスマートコントラクトを記述するために設計されたプログラミング言語)と互換性を備え、独立した基盤として構築されるこのネットワークは、現在5人のチームでステルス(密かに)運用中だ。

Tempoの特徴と開発背景

Tempoは、ステーブルコインや仮想通貨を活用した高速かつ低コストの決済処理を可能にすることを目指して設計されている。

Solidity互換によりイーサリアム(Ethereum)系アプリケーションやスマートコントラクトとの親和性を持つ。仮想通貨取引の制御を強化する狙いもあり、将来的にはStripeの既存決済ネットワークと統合される可能性がある。

プロジェクトの経緯と買収戦略

Tempoの存在は、削除された求人広告や関係者の証言から明らかになっている。求人には「高性能決済ブロックチェーン」としての位置づけや、フォーチュン500企業を対象とした経験、仮想通貨の概念をわかりやすく伝える能力が求められており、企業向けユースケースを強く意識したプロジェクトであることがうかがえる。

このプロジェクトは、Stripeが近年進めてきた仮想通貨関連の基盤拡充と直結している。2024年10月にはステーブルコインインフラプラットフォームのBridge(ブリッジ)を約11億ドル(約1,618.3億円)で買収し、ステーブルコイン「USDB」の提供やホワイトラベル型発行支援など多様なサービスを獲得。さらに2025年6月には仮想通貨ウォレット開発企業Privy(プリビー)を非公開額で買収し、カストディソリューションやウォレット機能を強化した。これにより、決済インフラからウォレット、発行ツールまで、ステーブルコイン技術スタックの主要コンポーネントを自社で保有する体制が整っている。

規制環境と市場動向

米国では2025年7月にGENIUS法が成立し、決済用ステーブルコインに関する連邦規則が明確化された。

これにより、大手テクノロジー企業がステーブルコインを活用する動きが加速し、StripeはMeta(メタ)やApple、Airbnbなどの競合をリードしている。共同創業者のパトリック・コリソン(Patrick Collison)氏は、技術の成熟によって企業が決済手段としてこの資産クラスを採用する事例が増えていると述べている。

現時点では、Tempoが独自トークンを発行するかや、解決を目指す具体的な課題は未発表だが、アナリストはこのプロジェクトが企業向け仮想通貨決済分野におけるStripeの地位をさらに強化すると見ている。Web2とWeb3を結ぶ新たな決済レイヤーとして、その動向に注目が集まっている。

 

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム