ベネズエラ、「約3000万バレルの石油」独自仮想通貨ペトロの裏付けに
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は今週20日、独自発行している仮想通貨「ペトロ」の価値の裏付けを、原油3000万バレルとする方針をテレビ出演時に示した。ロイター通信の報道で明らかとなった。また当初の予定では、ペトロの裏付けは原油50億バレルとしていたため、原油3000万バレルは大幅な減少となる。
米国がベネズエラに拠点を構える石油会社PDVSAに対して、制裁を行ったことが減少の原因とされている。情報サービス企業であるKplerのデータによると、ベネズエラの原油量は10月時点で3900万バレルとなっており、約77%をペトロの裏付けとして使うことになる。
ベネズエラの金融危機
ベネズエラでは深刻な通貨危機が進行しており、インフレーションによって国民が得る給料にも大きな影響を及ぼしている。一説によれば、ベネズエラの法定通貨ボリバルのインフレ率は1000万%とも言われている。この通貨危機に対応するため、マドゥロ大統領を筆頭に、ベネズエラ政府はペトロを推し進めようとしている。
例えば、退職者及び年金受給者に対するクリスマスボーナスを、ペトロにて支給することを発表している。いっぽうで、ペトロは主要な仮想通貨取引所でも取引されていない。また、昨年には年金受給者への支給金を、ペトロに強制的に変換している。
通貨危機の国ではビットコイン取引量が増加
通貨危機が起こっているベネズエラでは、ビットコインの取引量が右肩上がりに上昇している。Coin Danceのデータによれば、ビットコインのP2P取引所であるLocal Bitcoinsの取引高は、先月過去最高値を更新した。また、同じく通貨危機が深刻化している南米アルゼンチンでも、ビットコインの取引量は引き続き増加傾向にある。ボラティリティが高いとされているビットコインだが、こうした国では法定通貨よりもビットコインを保有している方が、資産価値を維持できる場合がある。