ビットコインが、アルゼンチンで高騰|BTC/ARSペアは23%の上昇
2019年8月11日、アルゼンチン大統領選挙の予備選挙(PASO)が行われ、マウリシオ・マクリ現大統領がアルベルト・フェルナンデス元首相に大敗する結果となり、翌日月曜にはアルゼンチン関連の資産(通貨や株)が軒並み急落した。
そこで資産の安全な避難先のひとつとして、仮想通貨ビットコインが選ばれた結果、アルゼンチンで取引されたビットコインにはプレミアがついて価格上昇した。11日には1BTC=507,268ARSだったものが13日には1BTC=628,189ARSに。この時のチャートは垂直に上昇。いかに凄い勢いで買われたかが解る。
なぜ資産を避難させる必要が?
2018年からペソが急落し、国民の半数以上が貧困層となったアルゼンチンは、今回の選挙に経済回復の大きな期待をしている。それというのも、IMF(国連通貨基金)は、アルゼンチンの経済収支と財政収支の赤字が改善していると発表したからだ。2018年と2019年のGDPは2年連続でマイナスになる見込みだが、2020年はプラスになると予想されていた。
ところが、貧民層から大きな支持を受けて当選確実となったフェルナンデス元首相は、貧困層支援だけでなく、市場介入も考えている。貧困層への支援が税金を使って「お金をばらまく」だけなら、アルゼンチンの経済が回復する見込みは薄れる。さらに、フェルナンデス元首相は、IMFの融資実行と、20年近い交渉の末に取り付けたEUとメルコスール(南米諸国の関税同盟である南米南部共同市場)の自由貿易協定(FTA)を見直す方針だ。FTA合意はアルゼンチンの経済回復のカギであり、マクリ現大統領の悲願でもあった。
つまり、マクリ現大統領が落選したことは、回復しかけていた経済の逆行を意味する。
言い方は悪いが、フェルナンデス元首相は、自分が当選したいがために人口の半数以上を占める貧困層から票を得ようとする政策を掲げたのだ。それが実行されればアルゼンチンの経済は悪化する。だから資産を持っているアルゼンチン国民は、安全な避難先に移動させる必要があったのだ。