ベネズエラ大統領、退職・年金受給者へのボーナスを「仮想通貨ペトロ」で支払い
今月17日、南米ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、同国の退職者および年金受給者に対してクリスマスボーナスを仮想通貨ペトロで支払う方針を示した。これは、ベネズエラの現地メディアであるVenepressのツイートより明らかとなった。
ペトロはベネズエラ政府が発行するデジタル通貨だ。ベネズエラ政府が年金受給者に対してペトロでの支払いを行うのは、今回が初めてではなく、昨年12月にも政府発行のペトロを使い支給を行っているという。また、Venepressの報告によれば、今回ボーナスとして支払われるのは0.5ペトロ。ベネズエラ中央銀行の提供するデータを基に換算すると、約3,235円(約90万ボリバル)となる。
ペトロは今後どうなるのか
ペトロが発行されたのは昨年2月。ベネズエラ政府は、ペトロの価値は国に埋蔵されている資源に裏付けされているとした。いっぽうで、投資家やアナリストからはこうした政府の見解を疑問視する声が多かった。また、ベネズエラの経済収支は悪化し続けており、現政権も立て直すことができていない。これに伴い、同国の法定通貨ボリバルの価値も大きく減少。通貨危機が深刻であったため、一時的な助け舟として政府が仮想通貨発行に踏み切ったと捉えられていた。
ベネズエラ政府は、そんなペトロを今回のように推し進めている。コインテレグラフスペイン版が報じたところでは、ベネズエラ国民党議会のフランシスコトーレルバ副議長は、現存するすべての法定通貨は仮想通貨に置き換えられるだろうと見解を示している。政府単位で今後もペトロ推進の流れは続くのだろう。
ヨービット・トレアルバ氏は、メジャーリーグでも活躍した経験があるベネズエラ出身の野球選手だ。トレアルバ氏は過去のインタビューで、マドゥロ大統領がペトロを発行したことは「大いなる貢献」だとコメントしている。加えて、「すべてをペトロを通してやり取りすることになるだろう」と見解を示している。