アジアがビットコインマイニングの収益性が最も高い事が判明
電気料金や規制には大きな変動があるものの、アジア地域全体としては、個人マイナーのビットコイン(Bitcoin/BTC)マイニングの平均コストが最も低く、最も収益性が高い事が最新の調査で明らかになった。
Coingeckoより画像引用
アジアでの家庭用電力を使用したビットコインマイニングの収益率が最も高いことが判明したと同時に、新型コロナウイルス、熱波、ウクライナ戦争によるエネルギー価格高騰など、複数の要因により、ヨーロッパ全土でビットコインマイニングの採算がほとんど取れなくなっている事も判明した。
研究者による試算で、個人マイナーが 1BTCを鋳造するのに平均266,000 kWh(キロワット時)の電力が必要で、プロセスの完了までに約7年かかり、月々の電力消費量は約143 kWhになる。研究者らは、デスクトップコンピューターを用いた最小限電力でマイニングできた時代は過ぎたことを認めつつ、世界中の家庭の電気代を分析。分散型ネットワーク内で活動する個人マイナーの見通しを提示した。
仮想通貨アグリゲーターであるコインゲッコー(Coingecko)の調査によると、1BTCのマイニングに必要な家庭用電力の平均コストは46,291.24ドル(約672万円)で、2023年7月のBTCの1日平均価格である30,090.08ドル(約437万円)よりも35%高かったという。しかし、世界各国の家庭用電気料金には地域差が大きく、ビットコインあたりの平均コストが20,635.62ドル(約300万円)であるアジアは、家庭の平均的な電気代で個人のマイナーにとってマイニングが利益を生む唯一の地域であると研究者は結論付けた指摘する。
また、アジア内でも各国には大きな格差があり、レバノンの電気料金は266.20ドル(約38,600円)で最も低く、日本は64,111.02ドル(約930万円)で最も高いが、ビットコインマイニングが最も利益を上げている上位10カ国の半分がアジアとなっている。
最も収益性が低いのはヨーロッパ
現在、家庭の電気代だけで個人マイニングの収益性を示している国はわずか65カ国だけである。
このうち、ヨーロッパにあるのはわずか5件で、家庭用電気料金の平均コストが85,767.84ドル(約1245万円)と最も高い。個人マイナーにとって最も収益性の悪い上位10カ国のうち9カ国がヨーロッパにあり、イタリアで1 BTCをマイニングするための電気代は 208,560.33ドル(約327万円)である。
旧大陸(アジア・ヨーロッパ・アフリカの3大陸)の家庭向け電力料金の値上げには、新型コロナウイルスパンデミックによる卸電力価格の高騰、需要の増大、熱波、ロシアのウクライナ侵攻など、さまざまな要因が寄与している。
研究者らは、1BTCのマイニングに使用される時間当たりの電力量である4.6kWhは、電気ケトルなどの他の家庭用電化製品の消費量3.5kWhや家庭用電化製品の消費量と比較すると、考えられているほど大差はなく、1 BTCを鋳造するのに必要な毎月の電力は、2021 年の米国の一般家庭の消費量のおよそ6分の1となっている。