ネム(NEM/ XEM)の特徴・詳細

2018年にセンセーショナルに報道されてしまったのコインチェック社のハッキング&流出事件で、世間では仮想通貨のネガティブイメージの代名詞になってしまった感のある「NEM(ネム/XEM)」。

しかし、きちんと調べてみると、「NEM(ネム/XEM)」は綿密な企画と設計で開発された安全なトークン/仮想通貨です。むしろセキュリティの点では、他の仮想通貨よりも高いと言えます。先だってのハッキング事件も、取引所であるコインチェック側のセキュリティに問題があったのであり、NEM側の落ち度は全くありません。

今後、カタパルトによって大きく値上がりすることも期待されている、NEM(ネム/XEM)について正しい知識を身に着けて、今後の動静を把握できるようにしましょう。

ネム(NEM/ XEM)の最新価格・相場・チャート・評価


ネム(NEM/ XEM)の特徴・詳細とは?|コインチェック事件で有名になった「新しい経済」をめざす仮想通貨について解説

意外と知らないNEMの基本知識

唐突ですが、「NEM(ネム)」と呼ばれている仮想通貨コインの正式名称は、「XEM(ゼム)」です。

「NEM」という名称は、「New Economy Movement(新しい経済運動)」と呼ばれる活動が由来となっています。この運動は、2015年に始まった、ブロックチェーンを活用して新しい経済圏(プラットフォーム)を創ろうとするプロジェクトの名称です。「XEM(ゼム)」は「NEM」上で発行される仮想通貨の名称です。

bitcointalkのフォーラムにて、ハンドルネーム「utopianfuture」という方によって企画され、2015年3月31日に流通開始されました。総発行量は全部で8,999,999,999XEM。発行時に約1,600人の投資家に均等に分けられており、追加の発行はされない予定です。プロジェクトのほうが有名になってしまい、なかば惰性的に通貨名もNEMの名称が使われているという恰好です。

NEMのロゴは、鮮やかで特徴的で目を引きます。これはプロジェクトが実現を目的としている、「平等」「分散化」「金銭的な自由」の3要素を表象したものだそう。

また、NEM財団と呼ばれる、シンガポールで2017年3月に設立された財団法人が存在していることも要チェックです。この財団は、世界中にNEMの提唱する「新しい経済」や、ブロックチェーン普及を目的としており、正式名称は「NEM.io Foundation Ltd.」です。財団法人なので、非営利目的の団体であることがポイントです。

コインチェック事件によって、NEMは有名になった

NEMを有名にした事件と言えば、コインチェック事件です。

この事件は、仮想通貨がセキュリティ的に脆弱で投資対象として成立しえない、という世間の空気を作り上げてしまいましたが、セキュリティに問題があるのはハッキングされたコインチェック社であり、NEMには全く問題はありませんでした。

それどころか、NEMはコンセンサスアルゴリズムや、利用されている技術の面でも、他の仮想通貨よりも優れているといえる点がいくつもあります。その点について見ていきましょう。

【仮想通貨取引所事件】Mt.GOX / CoinChack社NEM不正流出 / Zaif0円取引

2018.06.13

コインチェックが新規口座開設の受付を再開

2018.10.30

PoI(Proof of Importance)は、取引を活性化するコンセンサスアルゴリズム

PoI(Proof of Importance)は、貢献度に依ってスコアリングをする仕組み

NEM(ネム/XEM)は、トークンのやり取りの承認者決定方法であるコンセンサスアルゴリズムに、PoI(Proof of Importance)を採用しています。PoIとは簡単に言うと、そのトークンのやり取りに最も貢献度の高い(重要度の高い)人が最も報酬を得られやすくする、という仕組みです。

PoIで言う「貢献度」とは、その仮想通貨の保有量はもとより、仮想通貨の使用度も含めた総合的な活発さをスコアリングしたもので決められます。高スコアな人ほど、報酬獲得率が高くなるように設定されるということです。

どうしてこのような仕組みを採用しているかというと、他の仮想通貨で採用されているPoW(Proof of Work)やPoS(Proof of Stake)コンセンサスアルゴリズムにある、「電力コスト」、「集権性」という弱点をカバーするためです。

PoW(Proof of Work)の弱点は「電力コスト」

PoW(Proof of Work)は、ビットコインやドージコインで採用されています。仮想通貨の黎明期のアルゴリズムと言えるでしょう。PoWでのトークンの承認は、コンピュータを稼働させてのマイニングにて行われます。また、コンピュータの稼働には大きめの電力がかかる仕組みになっています。

PoWでは、マイニング用のコンピュータを拡張すればするほど、「電力コスト」をテイクすればするほど多く承認の計算をすることができるので、資金力のある人がより多く儲けられるということになります。このことで富の集中が起きてしまうのです。結果的な富の集中に無駄な電力が使用されているという見方もできるので、矛盾を抱えたアルゴリズムとも言えてしまいます。

PoS(Proof of Stake)の弱点は「集権性」

PoS(Proof of Stake)は、現在PoWを採用しているイーサリアムが移行を模索しているコンセンサスアルゴリズムです。こちらは、仮想通貨を多く保有している人が、マイニングの報酬を受けやすい仕掛けになっています。

「仮想通貨保有量 × 仮想通貨保有期間」という計算式で、コインエイジという権限性を持たせ、マイニング時のナンス探しの条件をゆるめる仕掛けを入れることでその仕掛けを実現しました。

このことで電力コストはかなり抑えることができます。しかし、結局マシンパワーがある人が有利であるという、「集権性」を排除できていません。また、マイナーたちはマイニングでの優位性を保つために仮想通貨を大量保有しようとします。このことが課通貨の流動性低下につながるとも言われています。

ネム(NEM/ XEM)の知っておくべき技術

Apostille(アポスティーユ)は、公証に使える仕組み

NEM(ネム)には、「公証」という公正証書・公文書の認証に使える仕組みがあります。それは、Apostille(アポスティーユ)という名の機能です。ファイルのハッシュ値についてブロックチェーンへの記録をメッセージ機能を利用して行うもので、遺言や養育費関連、債務などの公正証書についての役所での手続きに代わるものを想定しています。

「お役所仕事」というとおり、まだまだ旧来的な紙や印鑑を利用した承認が主流な現代ですが、これらがブロックチェーン技術による代替が進んでいく、そう見越した計画性の中で、「NEM(ネム/XEM)」は運営されているということです。

namespace(ネームスペース)は、ドメインのようなもの

NEMでは、NEMのネットワーク上に、独自のトークンを発行することができます。それには名前を付けることができ、まるでインターネットのDNSサーバのようなものになっています。それが、「namespace(ネームスペース)」です。

サブドメインと似たようなイメージで、で「sub-namespace(サブネームスペース)」を、1つのネームスペースに最大で2階層まで付与することができます。最大文字数はネームスペース16文字、サブネームスペース64文字です。

このネームスペースはレンタルすることができます。1年の有効期限でネームスペース100XEM、サブネームスペースは10XEMです。

mosaic(モザイク)は、NEM内仮想通貨

そして、あらかじめ作成したネームスペースにて、モザイクと呼ばれるNEMのブロックチェーン上で機能する仮想通貨を発行することも可能です。ビットコインの独自トークンを作る機能である、カウンターパーティーにも似た機能だと言えます。

最大文字数は36文字でモザイク名を決めたら、発行数や自由取引可否を設定し、独自の仮想通貨として流通させることが可能です。様々な活用方法に応じた設定が可能なので、何ができるかを考え、慎重に設定したほうがよいでしょう。

ネームスペースとモザイクは、ドメインとHTMLなどのwebサイトを構成するファイルのような関係としばしば形容されます。

NEMの最大の特徴であるHarvest(ハーベスト)とは?

ビットコインなどの仮想通貨は取引やブロック承認などを行うことで、報酬をもらえるマイニングがありますが、NEMはハーベスティングと呼ばれる独自の報酬権利が存在しています。

ハーベストとは、日本語訳で「収穫」と呼ばれており、その方法は大きく3種類に分けられています。その中のハーベスティングは2つに分けられ、パソコンの電源のON・OFFなどの条件は異なりますが、基本的に10,000XEM以上を保有することによって、報酬を得ることができます。

ローカルハーベスティング

先述のとおりPoIのコンセンサスアルゴリズムで稼働しているNEMですが、下記の条件を満たしていれば、1分間に1回取引承認時の報酬をランダムで得る権利を持てます。

  • パソコンの電源がオンラインになっている
  • 10,000XEM以上保有
  • 10,000XEMに加え有効化する際に使用する10XEMを保有

この承認システムをハーベストと言い、上記条件を満たして行うものを、ローカルハーベスティングと言います。

デリゲートハーベスティング

なお、パソコンの電源がオフラインでも、取引の常用度に応じてトークンをハーベスティングすることができます。

  • 10,000XEM以上保有
  • 10,000XEMに加え有効化する際に使用する10XEMを保有

という条件はそのままですが、誰かのPCにハーベスト作業を「委任」することで、報酬を得ることができます。委任の手数料は0.15XEMと安価なため、デリゲートハーべスティングは、有効な手段だと言えます。

スーパーノード

NEMのブロックチェーンを管理しているノードを、スーパーノードと言います。スーパーノードでは、毎日約300XEMを受け取ることができます。スーパーノードになる条件は下記です。やはり、かなり難易度の高い条件となっています。

  • パソコンの電源がオンラインになっている
  • 3,000,000XEM以上保有
  • 安定したインターネット環境の保持(かなり細かく規定がある。下記参考参照のこと)

参考:『NEMの説明書』はこちら

ネム(NEM/ XEM)の評価まとめ

NEMの本来の目的とは?

最初に書いたとおり、NEMはブロックチェーン技術を利用することでの、新しい経済への発展を目的としています。それは、金銭的な自由、分散化、平等などに基づいた、新しい経済圏を創出していくことです。

仮想通貨として投機目的で作られたものというよりも、試行錯誤を繰り返し、経済という人間の根源的な事象についてコミットし続ける動的なプロジェクトだと考えたほうがよいでしょう。ハッキング事件だけを見て仮想通貨は悪だと決めつけるのは早計です。

NEMの送金には注意が必要!

仮想通貨の送金時に使う、「GOX」という言葉をご存知でしょうか。「GOX」とは、仮想通貨を送信する際にその通貨自体が消えてしまったり盗まれてしまうことの呼称です。マウントゴックス事件が名前の由来です。

NEMの送信の際には、このGOXが起こることがあるので注意が必要です。NEMを送金する際は、必ず送金元についての情報をメッセージで送る必要があります。このメッセージがないと、受信先でNEMが送られてきたけど誰から贈られたかわからない、という事態に陥り、迷子のNEMが発生してしまうためです。

せっかくのコインが、移動させただけで消滅してしまう、ということは避けたいところ。強く注意するようにしましょう。