フランスのビジネススクールは、世界初となる仮想通貨による学費の支払いをスタートすると発表

フランスのパリに2014年に設立され、ブロックチェーン関連のコースを数多く設けているビジネススクール「フィナンシア・ビジネススクール(Financia Business School)」は、従来の現金等による支払いに加え、仮想通貨ビットコイン(BTC)による授業料の支払いを受け入れると発表。すでに本年度5人の生徒がこの仕組みを活用し、授業料を仮想通貨で支払ったという。

フィナンシア・ビジネススクールが今回このような取り組みを行うに至った理由として、同校に通う生徒の約4分の1が外国からの留学生であるという事が挙げられる。留学生が授業料を支払うには国際送金などで母国から送金してもらい、フランス国内で授業料を納める必要がある。

しかしこの様な手続きにかかる手数料は決して安くはなく、今までにも多くの留学生の悩みの種となっていた。そこで問題解決の手段として選ばれたのが仮想通貨ということである。

同校はこの取り組みを現実のものとするため、仮想通貨やブロックチェーン関連のスタートアップ企業であるコインキャピタル社(Coin Capital)と業務提携を結んだ。これにより同校の生徒たちはコインキャピタルを通しビットコインでの授業料の支払いをすることが可能となった。

今回実際に授業料をビットコインで支払った5人生徒の内の1人であるアダム・ハシブ(Adam Hasib)氏はフランスメディアのインタビューに対し、次のように回答している。

私はブロックチェーン技術に早い段階から興味を持っていて、昨年の6月にビットコインを購入しました。その仮想通貨投資によって生まれた付加価値で授業料を支払うことができてうれしいです。」

これは非常に稀なケースではあるが、仮想通貨を利用するということは手数料を安く抑える事が出来るというだけではなく、仮想通貨を保有している人であれば、仮想通貨の値段変動により現金で授業料を支払うよりお得に授業料を納めることが出来る可能性もある。

BTC支払いに対応した背景とは?

今回フィナンシア・ビジネススクールが仮想通貨による授業料の支払いを受け入れることになった背景には、同校は先進性があり、早い段階でブロックチェーン関連のクラスを設けていたことが理由として考えられる。

しかし、この様な流れはフィナンシア・ビジネススクールの様な先進的な学校に限られたものではなく伝統的な教育機関でも、現在ブロックチェーン技術や仮想通貨関連のクラスを設けようとする動きは活発になってきているという。

アメリカのカリフォルニア州にあるスタンフォード大学は、世界の大学ランキング上位50に入る大学の中では、最もブロックチェーン技術や仮想通貨関連のクラスを設けている大学だという。その他の世界大学ランキング上位50に入る大学の約42%が仮想通貨関連のクラスを開設し始めている。

今回フランスで学費の仮想通貨払いが可能になったわけであるが、実は既に米国や英国、スイスやキプロスといった国の大学の中には、学費の仮想通貨払いを受けている大学が存在していた。中でも金融危機でも話題となったキプロスのニコシア大学では2013年から学費の仮想通貨による決済を受け入れている。残念ながら日本ではまだ、教育機関による仮想通貨決済への対応が進んでいるとはいいがたい状況がある。

今後、学費はもちろんのこと、公共料金の支払いや納税時などにも仮想通貨の使用可能となれば、これまで以上に幅広い層が仮想通貨を利用することとなっていくだろう。実際にスイスなどの仮想通貨先進国では実現が広がっており、仮想通貨を投機的な見方でなくインフラとして定着させていくためにも、日本国内での実現も期待されている。