SEC、ビットワイズのビットコインETF提案を拒否
SEC(米国証券取引委員会)は、ビットワイズとNYSEアーカによるビットコインETFの申請を拒否した。ビットワイズは今年1月28日に、ビットコインETFをSECに申請しており、10月13日が審査期限となっていた。先月には、同じくビットコインETFを申請していたヴァンエックが、申請の取り下げを発表していたこともあり、市場関係者からは大きな注目が集まっていた。
SECは拒否の主な理由として、価格操作とハッキングの2点の懸念事項を挙げている。具体的なSECのコメントは、以下のようになる。
「私たちはこの提案を非承認とする。なぜなら、NYSEアーカは証券取引法のセクション6(b)(5)を満たしていないからである。特に、証券取引法における『不正で操作的な行為とその慣行を防止する』という要件を満たしていない。」
ビットコインETFは残り1つ、価格操作の懸念は晴れるのか
今回ビットワイズが拒否されたことで、現在SECが審査中のビットコインETFは、Wilshire PhoenixとNYSEアーカが提出したものだけとなっている。SECはこれまでにも申請されてきたビットコインETFをすべて拒否しているが、その理由は価格操作と資産管理であり、投資家保護を第1に優先する考え方は常に一貫している。資産管理に関しては技術的な問題であるため、解決の糸口は見つかりやすいだろう。また、ここ最近では、仮想通貨のハッキング被害に対する保険サービスの提供も始まってきている。
一方で、多くの取引所が規制下にない状態で取引が行われていることから、価格操作の懸念を払拭することは非常に難しい。それだけでなく、テザー(USDT)によってビットコインの価格が操作されているという報告や、取引量の水増しを行っているとして取引所の不正を指摘する意見もある。
こうした懸念を払拭するには、ビットコイン自体の取引量の増加や、価格操作が難しくなるほどの時価総額の上昇が必要となる。このためには、機関投資家の参入が必要不可欠だが、期待されていたBakktのビットコイン先物は取引量も伸び悩んでいる状態だ。また、資産の裏付けがないにも関わらず、ほぼ際限なく発行可能なテザー建ての取引が主流となっている現状も問題を難しくしている。こうした状況下で価格操作の懸念を払拭するのは極めて困難だろう。他の資産にはない、仮想通貨独自のジレンマを抱えている状態なのかもしれない。