今年、70の仮想通貨ヘッジファンドが閉鎖

今年、70の仮想通貨ヘッジファンドが閉鎖

2019年に70の仮想通貨ファンドが閉鎖したことが、Crypto Fund Researchを基にしたブルームバーグの報告から明らかとなった。この状況から考察するに投資家はビットコインに疲れているようだ。このトレンドが続けば、今後ヘッジファンドの数は仮想通貨業界から大幅に減少する。

ヘッジファンドの閉鎖の確認が取れたうち大部分を占めるのは北米とヨーロッパだ。それぞれ、北米が28社、ヨーロッパで23社が閉鎖している。ここ最近では、Fidelity Investmentsが今後5年間でヘッジファンドの増加が起こるとした研究結果を発表している。しかし、このトレンドが続くようであれば、仮想通貨業界は同社の予想とは相反する結果へ向かいそうだ。

マクロ経済と同様、ビットコインの不確実性が高まっている

2019年は米中貿易摩擦、英国のブレグジット、ドイツ銀行の経営不振、CDS問題や逆イールドの発生など、マクロ経済の視点で考えても不確実性が非常に高まっているように見える。ビットコインは金(ゴールド)と同じように、こうした世界経済の不確実性を避けるためのリスクオフの逃避資産として考えられていた。つまり、世界経済の不確実性が高まり、不況や混乱が起きるほど、ビットコインの価格は上昇するはずであった。

一方、今回の報告ではヘッジファンドが閉鎖した背景には、投資家がボラティリティと規制によるビットコインの不確実性を懸念していることがあると伝えられている。特にフェイスブックのリブラ発表によって、各国が規制に本格的に乗り出してきている影響は大きいようだ。先日行われた、FSIC(金融情報システムセンター)の35周年記念シンポジウムにて、日本銀行の黒田総裁もリブラのようなグローバルステーブルコイン(GSC)について懸念を表明している。

また、トランプ大統領も仮想通貨に対して「ファンではない」とツイッターで公言しており、米国内でも今後どのように規制が展開されていくのか見通しは立っていない。米国は金融市場における中心地であり、その影響力は非常に大きい。実際に、仮想通貨市場における取引のほとんども米国が占めている。仮に米国で大規模な規制が行われれば、仮想通貨市場は致命的なダメージを受ける可能性があり、同様にビットコイン価格にもネガティブな影響が出ることは避けられないだろう。

トランプ大統領が仮想通貨を批判|「ビットコインや仮想通貨“Libra”のファンではない。」

2019.07.12