ジャガー初のフルEV電気自動車“I-PACE”、IOTA財団と共同で概念実証デモ
IOTA財団は先月8/30に英国最大の自動車メーカー「ジャガー・ランドローバー」、フランスのエネルギー研究開発センターである「Engie Lab Crigen」と提携して、ジャガー初となるフルEV車、「I-PACE」に搭載した「スマートウォレット」とバッテリーに供給する電力をDLT(分散台帳技術)を使ってトレースする実証実験を開始する事を発表した。
IOTA財団とはドイツで設立された非営利の組織であり、IOT(Internet of Things)により、世界中のデバイス同士がインターネットで繋がる時代に向け、デバイス間の決済をスムーズに整備する事で、よりシームレスな世界を構築することを、ミッションとして掲げている。発行している独自通貨の単位は「MIOTA」で現在の価格は26円前後(2019年9月2日時点)を推移。日本の仮想通貨取引所には上場していないが、海外の取引所には既に上場しており、その一覧は下記の通り。(それぞれの取引所によってメリット、デメリットが存在する為、口座を開設する際は十分な検討が必要です。)
- BINANCE(バイナンス)
- BITFINEX(ビットフィネックス)
- Huobi(フォビ)
- HitBTC(ビットビーティーシー)
- OKEx(オーケーエクスチェンジ)
独自分散型台帳「Tangle」
IOTAが独自開発しているDAGベースの分散台帳技術の名称が「Tangle」というシステムである。これは、従来のパブリックチェーンのスケーラビリティ問題を解決したもので、トランザクションの手数料も無料だ。
ブロックチェーンの管理とは異なり、ブロックを生成せず、取引ごとに処理し、取引者がノードの役割を果たすのでインセンティブが不要。ブロックサイズや承認延滞に時間がかからず済むことが特徴だ。これによりデバイス間同士のデータの送受信時やマイクロペイメント時のトランザクション手数料を気にせず利用できる。 (詳しい情報は下記関連記事を参照ください)
スマートウォレットの概要
EVに搭載されたウォレット機能により道路穴、気象条件、交通量などの交通情報を報告する事でトークンがウォレットに送金され、獲得したトークンは、通行料、駐車場、充電などのサービスの支払いに適応される。
また、これらすべての機能は、ドライバーの希望に応じていつでもオンとオフの調整が可能。
バッテリー充電情報のトレーサビリティー機能
ウォレット機能以外に搭載されているシステムとして「グリーンチャージ機能」が存在する。この機能をオンにすることでドライバーは、再生可能エネルギーしかEVに充電する事が出来ない。
バッテリーに充電した電力は分散型台帳技術により再生可能エネルギー由来であることが証明されているため、今後、環境価値のP2P取引のプラットフォームとして活用されることが期待される。(英国では、2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を全面禁止)
EV×分散台帳技術による社会インフラ
デモンストレーションはジャガーランドローバーのDestination Zero戦略(事故ゼロ、渋滞ゼロ、排出ゼロ)に沿ってプロジェクトが進行しており、IOT社会の持続可能なエネルギーインフラの基盤としてDLT技術を用いた実証実験は世界中で行われている。
直近では北海道電力と(株)INDEDTAILによる北海道エリアにおいてのEVのエネルギープラットフォームの実証実験が記憶に新しい。このプロジェクトの概要は各地に設置されているEVスタンドをブロックチェーンで管理する事で、利用者がいつでもスタンドの使用状況や、設置場所を確認することを可能にし、社会インフラの発展に寄与している。
また、ユーザーの利便性を上げる以外にも、災害時のバックアップ電源としても注目されており、EVに搭載されている大容量バッテリーを災害時の分散型電力供給源として活用することで被災地の支援に役立てる見込みだ。
IOTAは昨年にフォルクスワーゲンとも提携しており、走行情報の管理にDLT技術を用いて管理することを発表している。このようなコンソーシアムの盛り上がりから考察するに、今後は自動車産業のEV事業推進とIOT技術の発展に比例する形でブロックチェーン産業も伸びていくのではないだろうか。