ロシア下院が包括的暗号資産法を可決――個人取引上限3,800ドルや国際決済、2027年までの移行期間を設定

ロシア下院が包括的暗号資産法を可決

制度の全貌と運用の仕組みロシア下院(国家院)は、同国初となる包括的な暗号資産市場規制法案「デジタル通貨とデジタル権利に関する法律」(法案番号1194918-8)を可決した

日本語訳:
速報:ロシア下院は、企業が国境を越えた取引に仮想通貨を使用することを許可する法案を可決した。この法案は今後、連邦院の承認を経て、プーチン大統領の署名に回される。9月1日に施行される見込み。

この法案は連邦院での承認とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の署名を経て、2026年9月1日に施行される。市場参加者には来年(2027年)7月1日までの移行期間が与えられ、新時代に向けた制度整備が本格化する。

5つの規制枠組みと金融機関の参入

新法では、暗号資産ビジネスを以下の5分野に分類し、政府の登録簿に収載された事業者のみに仲介業務を認める体制へと移行する。

・暗号資産取引所
・ブローカー
・資産運用会社
・カストディアン(保管機関)
・両替・取引サービスプロバイダー

これまでアングラ化していた1日約500億ルーブル(約1,038.5億円)規模の国内取引を公式な金融システムへ取り込むため、大手金融機関も動き出している。Sberbank(スベルバンク)はウォレットやカストディ事業のほか海外取引所へのアクセス提供を検討。VTB、T-Bank(Tバンク)、Alfa-Bank(アルファバンク)、モスクワ証券取引所も独自のインフラ構築や試験運用を進めている。

個人投資家の取引制限とプライバシーの緩和

投資家保護とリスク管理の観点から、属性に応じた年間取引制限が導入される。

投資家区分 年間購入上限額 海外送金上限額
非適格投資家(一般) 30万ルーブル(約3,800ドル) 10万ルーブル
適格投資家 300万ルーブル 100万ルーブル

当初議論されていた全ウォレットアドレスの開示義務は見送られ、残高や取引量の報告に重点が置かれることになった。なお、不正防止対策として海外送金や高額取引には最大48時間の検閲・遅延措置が適用される。

国内決済の禁止維持と国際貿易での例外利用

ロシア国内における商品・サービスの購入手段としては、引き続き暗号資産の利用や関連広報が固く禁じられ、法的決済単位はルーブルに限定される。

一方で、西側諸国による経済制裁の強化に対抗するため、国際貿易の決済手段としての利用は合法化される。居住者・非居住者間のクロスボーダー取引やマイニング通貨の活用など、外為決済における例外枠組みが明確に整備された。

段階的な施行スケジュールと今後の課題

今後の制度運用に向けた主要なロードマップは以下の通りとなっている。

2026年9月1日:新法施行、デジタルルーブルの本格導入
2026年末まで:中央銀行により約80件の細則法案が発出予定
2027年7月1日:移行期間が終了。未登録事業者経由の銀行送金拒否が義務化
2027年後半:選管のデータアクセス権限や不正対策規定の施行

法律の可決は第一歩に過ぎず、国内トラベルルールやブロックチェーンノードの構築、法定通貨担保型ステーブルコインの規制策定など、中央銀行と銀行業界による実務インフラの確立が今後の焦点となる。

 

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