業界最大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)は、米国拠点のユーザーが取引所にアクセスするのをブロックし始めた。海外メディアTheBlockが報じた。
バイナンスが米国ユーザーをブロックする動きは、昨年7月に、同年9月から米国居住者へのサービスを停止すると発表してから1年以上経った今、ようやく実行に移されようとしているとみられる。バイナンスはこれまで、米国ユーザーが同取引所にアクセスすることを許可していたが、米国居住者は取引所サイトにて最初に表示される「私はアメリカ人ではありません」と記載された質問をクリックするとBinance.comにアカウント設定でき、この方法でアカウント作成が引き続き可能であった。
バイナンスは現在、IPアドレスに基づいて米国居住者に対して、以下のようにメールで通知を送信しており、これは昨年の発表で述べていた封鎖を実行するための手続きとみられる。
過去に接続したIPアドレスが原因で、アカウントが米国に関連付けられている可能性があります。規制要件に従い、米国市民または居住者にサービスを提供することはできません。米国市民または居住者の場合、90日以内にアカウントから資産を譲渡してください。(今後については)BinanceU.S。またはその他の米国プラットフォームの使用を検討してください。
バイナンスのカスタマーサポートチームは、システムがアカウントへのアクセスを検出するか、メールに記載されている要素がアカウント内で検出されると、このメール通知がユーザーに送信されるという。
米国ユーザー締め出しは、規制当局対策か
発表から1年も経過した現在、これらの措置に踏み切った背景には、米国政府が仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXに対して訴訟を起こしたことが要因となっていると指摘している。
10月2日、BitMEX共同創設者兼最高経営責任者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)CEOらを告発したほか、DOJ(United States Department of Justice=米国司法省)とCFTC(Commodity Futures Trading Commission=米国商品先物取引委員会)によってBitMEX(ビットメックス)とサミュエル・リード(Samuel Reed)共同創設者を、KYC(Know Your Customer=顧客確認)およびAML(Anti Money Laundering=アンチマネーロンダリング)防止規制に違反したとして拘束・起訴し、NEXTMONEYの特集記事「マネーロンダリング違反で、BitMEXを民事訴訟の提起と刑事告発へ」でも報じた。
これらの件に伴い、NEXTMONEY特集記事「BitMEXのアーサー・ヘイズCEOが退任」で伝えたように、同月8日付で共同創設者兼最高経営責任者であるアーサー・ヘイズCEOが退任を発表している。このケースに関連し、BitMEX側は「BitMEX、本人確認(KYC)プログラムを強化」で報じたように、KYCプログラム強化を加速。2021年2月の当初設定された期限より早い11月5日までにすべての顧客確認を求められている。
大手メディアForbesは、匿名を希望する人物によって持ち込まれた米国規制当局による監視回避策するための取り組みが詳細に記載された「太極拳エンティティ(レポート)」の内容を報じている。同レポートには、Binanceが“規制当局を意図的に欺き”、米国の仮想通貨投資家から密かに利益を得るために考案された精巧な企業構造であると主張している。
同ファイルのは「プレゼンテーション2」と記載されており、Forbesは他の戦略も検討されている可能性があると指摘しているほか、レポートを分析した結果、詳述されている多くがすでに実施されていると述べている。