バハマがサンドダラー(Sand Dollars)をリリース
バハマ中央銀行が本日、独自のブロックチェーンベースの中央銀行デジタル通貨(CBDC=Central Bank Digital Currency)を立ち上げた。「サンドダラー(Sand Dollars)」と呼ばれるこのデジタル通貨は、カリブ海の島国の決済ネットワークと統合され、同国の中央銀行によって作成および規制される。
本日の発表は、サンドダラーの“段階的リリース”ではあるが、中央銀行の代表者が385,000人の市民が今日プロジェクトサンドアカウントを設定し、取引を処理できるようになったとメディアに語っていることが報じられた。
今日サインアップができ、サンドダラーウォレットを手に入れるとすぐに、一般の人々と商人の両方が取引を開始できる。
本日のサンドダラーリリースに先立って、昨年(2019年)12月に小規模ではあるものの、実証実験などが実施されている。中央銀行は、Project Sandに対して、Omni Financial、Kanoo、SunCash、Cash N Go、Mobile Assist、MoneyMaxxの6つの金融機関を認可しており、代表者は1人を除き、全員が本日稼働したと述べている。中央銀行は引き続き金融機関のオンボードとホワイトリストへの登録をすると述べた。
現金を補完し、国による既存支払いシステムを改善するためにCBDCを設計したバハマ中央銀行はプロジェクトの質問ページで、Project Sandは、国の支払いシステムがユーザーにごくわずかな取引手数料を請求し、ネットワークが高レベルの仮想通貨プロトコルと、強化されたKYC(Know Your Customer=顧客確認)/AML(anti-money laundering=マネーロンダリング対策)標準によって保護されていると主張している。
ビットコインとは異なり、サンドダラーは中央銀行によって管理および鋳造されており、国内での決済(支払い)にのみ使用できる。同プロジェクトのホワイトペーパーによると、サンドダラーは分散型台帳テクノロジーであるブロックチェーン技術に基づいていると記されている。
バハマは、政府が支援するデジタル通貨を導入した最初の国の1つで、ベネズエラではペトロが発行されている。ただし、ペトロは石油バレルに裏打ちされたステーブルコインであり、今回リリースされたサンドダラーとは形態が異なる。
現在、中国の深センでデジタル人民元の試用実験が実施されているほか、カンボジアのブロックチェーンを用いたCBDCは延期されているが試験中である。さらに、マーシャル諸島政府は、SOVと呼ばれる仮想通貨の実装を検討しており、日本でも今年中にはデジタル円の実証実験が実施される予定がすでに発表されるなど、世界的にもキャッシュレスへと向かっている感が強い。
国際決済銀行による1月のレポートによると、世界の中央銀行の8割以上がCBDCを調査しているものの、バハマのサンドダラーほど進歩したプロジェクトはほぼないと言える。