「リブラが、デジタル通貨の共同研究を促進した」=元日本銀行幹部
日本銀行が発表した、6つの主要な中央銀行らと協力して共同研究を行うためのグループの設立は、フェイスブックが構想する仮想通貨リブラによって引き起こされたと、元日本銀行幹部がロイターに語った。
日本銀行は21日、主要な中央銀行は日本銀行をはじめ、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)が参加し、電子マネーや中央銀行デジタル通貨(CBDC)の潜在的な可能性を調査することを目的に、共同研究を行うグループを設立したと発表した。
ロイターの取材に答えたのは、前日本銀行決済機構局長の山岡浩巳氏である。山岡氏は、今回の日本銀行によるグループ作成の決定が、フェイスブックの仮想通貨リブラがより通貨を魅力的にするために、中央銀行間の国際的な競争を引き起こした兆候であると述べた。
「(6つの中央銀行による)最新の決定は、情報を共有することだけではありません。また、リブラのようなものをチェックする努力でもあります。」
以前から山岡氏は、仮想通貨リブラに対して自身の見解を示している。山岡氏は昨年8月、リブラについて「使用規模が法定通貨を上回ることになれば、金融政策の有効性が著しく低下する展開も予想される」と述べており、信用の低い国の法定通貨が、リブラへ移る可能性を指摘している。
中央銀行のデジタル通貨の分野は、中国が先陣を切っている状況だ。中国人民銀行は、深センと蘇州の都市で、デジタル通貨電子決済のテストを開始している。しかしそれに対して日本銀行黒田晴彦総裁は、「日本のデジタル通貨に需要はない」と見解を示しており、他国の状況を伺っている状況である。