政治家個人への献金は、仮想通貨を使用すれば可能 |政治献金法の抜け穴
日本国内における仮想通貨の規制は、世界各国の仮想通貨規制よりも慎重であり、世界をリードする知識や体制が整っている。しかし、完璧に思われていた仮想通貨規制にも、見直すべき要点が多いようだ。
仮想通貨を使用した政治家への献金および、寄付などが「違法にならない」と見解を示したことが、読売新聞の報道によって明らかになった。報道では、政治献金法で定められている法律において、仮想通貨は「金銭・有価証券」に該当しないという。政治資金決済法で定められたルールでは原則、「金銭・有価証券」を使用した政治家への献金、寄付については禁止されている。また、政治団体への金銭・有価証券・仮想通貨の寄付は、「政治資金収支報告」を使用して公開しなくてはいけない。
しかし報道された通り、「政治家個人」への仮想通貨を使用した寄付・譲渡は禁止されておらず、政治資金収支報告書へ報告をする必要もないという。
法務省の見解と、仮想通貨を使用した譲渡の背景
仮想通貨による政治家個人への献金について、総務省は違法にならないと見解を示している。読売新聞が5日に報じた。政治資金規正法においては、政治家個人への献金は原則禁止だが、仮想通貨は法律で禁止されている「金銭・有価証券」に当たらないと判断。読売の報道では、金銭・有価証券に「仮想通貨は含まれない」というのが総務省の見解である。
これらの見解が本当であれば、どのような人物でも仮想通貨を使用することによって、政治家個人へと資金を自由に譲渡することが可能であり、それが公になる心配もない。俗に言う「賄賂(ワイロ)」を認めてしまう可能性もある。
仮想通貨・トークンは、インターネット上に存在するデジタル通貨の一種であり、ブロックチェーン技術を使用しているとはいえ、全てのトランザクション(取引)を確認することはできない。昨今、仮想通貨市場には匿名通貨と呼ばれる、取引履歴が匿名かされる仮想通貨が誕生しており、資金洗浄(マネーロンダリング)が問題として取り上げられている。
日本国内に居住する国民は現在、仮想通貨という存在が身近なものとなり、仮想通貨を簡単に購入することができる環境にある。そのため今回の報道は、政治家個人への資金の譲渡が、簡単にできるということが示されたこととなる。