米銀行グループがステーブルコイン利回りの抜け穴閉鎖を要求
米国の銀行グループは、GENIUS法のステーブルコイン利回りに関する抜け穴が銀行システムに混乱をもたらす可能性があるとして、議会に警告を発し、閉鎖を要求している。
BPI(銀行政策研究所)を含む複数の米国銀行グループは、ステーブルコイン利回りに関するGENIUS法の抜け穴を解消するよう議会に要請。銀行団体は、GENIUS法はステーブルコイン発行者が直接利息や利回りを提供することを禁止しているが、この禁止措置が仮想通貨取引所などの関連企業には適用されていないと主張している。これにより、ステーブルコイン発行者は法律を回避し、提携企業を通じて利回り商品を提供できる可能性がある。
In digital asset market structure legislation, it is important that the requirements in the GENIUS Act prohibiting the payment of interest and yield on stablecoins are not evaded.
The latest from BPI, @ABABankers, @ConsumerBankers, @FSForum and @ICBA: https://t.co/YOta4d4UDA
— Bank Policy Institute (@bankpolicy) August 12, 2025
デジタル資産市場構造の法制化においては、ステーブルコインへの利息および利回りの支払いを禁止するGENIUS法の要件を回避しないことが重要です。
2025年8月12日(火曜日)付けで議会へ宛てた書簡の中でBPIは、このような行為は伝統的な銀行システムに重大な混乱をもたらす可能性があると警告。ステーブルコインの利回りは利用者を引き付ける主要なセールスポイントの一つであり、規制当局が対処すべき重要な課題であると指摘した。
BPIは火曜日に議会に宛てた書簡の中で、GENIUS法に基づく新ステーブルコイン法の抜け穴を閉鎖できずに放置すれば、米国の企業や家計への信用の流れが阻害され、従来の銀行システムから6.6兆ドルの預金流出を引き起こす可能性があると警告した。
GENIUS法によるステーブルコイン利回り禁止とその潜在的な抜け穴
2025年7月に成立したGENIUS法は、ステーブルコイン発行者がトークン保有者に直接利回りを提供することを禁止しているが、この禁止措置を仮想通貨取引所や関連企業に明示的に適用する規定は今のところない。
これまで、サークル(Circle)などのステーブルコイン発行者は、コインベース(Coinbase)やクラーケン(Kraken)などのプラットフォームで保有されているUSDCトークンに利回りを提供してきた。この仕組みにより、ユーザーはステーブルコインを保有しながら報酬を獲得でき、銀行団体によると、法律の趣旨を損なう可能性があるという。
現状ではリスクが伴うが、それは、ステーブルコイン発行者が間接的に規則を回避できるからで、関連会社と提携することで直接法律に違反することなく、ステーブルコインに利回りを提供し続けられる。銀行団体は、利回りのあるステーブルコインにとって規制のない環境が生まれ、金融システムの運用方法に大きな変化が生じる可能性があると懸念を表明している。
銀行団体は書簡の中で、この問題がもたらすより広範な金融リスクを強調しており、ステーブルコインに利回り提供が許可されれば、従来の銀行預金からステーブルコインへの資金の“再配分”につながる。その結果、経済における信用創造にリスクをもたらす可能性があると主張している。
現在、テザー(USDT)やUSDCなどのステーブルコインが市場を支配しており、合わせてステーブルコインの時価総額の80%以上を占め、経済全体と比較すると小さいように見えるが、急速な成長の可能性があることから、規制当局や銀行家の間では金融システムへの影響について懸念が生じている。
この書簡は、全米銀行協会(ABA)、消費者銀行協会(CBAA)、全米独立コミュニティ銀行協会(ICBA)、金融サービスフォーラムも署名ししている。なお、米国財務省は、ステーブルコイン市場が2028年までに2兆ドル(約293兆円)に成長すると予測している。