タイ中央銀行がCBDCパイロットテスト着手
BOT(Central Bank of Thailand=タイ中央銀行)は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の範囲を拡大する必要があると考えるという公式声明を発表し、限られた規模ではあるものの、CBDCパイロットテストに着手した事を発表したことが分かった。
BOTは、CBDCのパイロットテストを選択した参加者と一緒に実施することを計画しており、CBDC関連サービスまたは投資を提供すると主張する詐欺や詐欺に注意するよう一般に警告。“新しい金融インフラとしてのCBDCの重要性を認識した初の中央銀行の1つ”と主張しており、限られた規模での民間セクターとの協力の下、にさらに一歩踏み込んだ実用化向けパイロット段階に進むことを示唆。BOTのバチラ・アロムディー(Vachira Arromdee)副総裁は次のように語っている。
世界中の中央銀行は現在、CBDC開発に重点を置いており、CBDCの可能性が将来の金融システムの基盤になると考えています。
なおBOTは、2022年末までに政策の策定とCBDC設計に関するリスクと利点を評価できるようにする予定とのこと。
BOTは技術とCBDC設計の適合性を評価
BOTのCBDCパイロットフェーズは、基礎トラックとイノベーショントラックの 2 つに大別されている。
約 10,000 人のユーザーが 3 社が関与する商品やサービスの支払いシステムの設計を評価するための基礎トラックであるファウンデーショントラックのテストについて、2022年末に開始され、2023年半ばまで続く予定とのこと。一方、CBDCイノベーショントラックテストは、BOT が将来的にタイの国内状況に合わせたCBDC設計を開発・改善するのに役立つとのこと。さらにBOTは、「CBDC ハッカソン」を通じ、民間セクターと一般市民が小売CBDCのビジネスユースケースの提示に参加できるようにする予定とのこと。
ただし、2021年にタイではCBDCが今後3~5年で完全に実装される可能性があると明らかにしたものの、BOTはリスクとメリットを「徹底的に考慮する」必要があるため、現時点でCBDC発行の計画はない。また、CBDCへの投資やサービスを提供すると主張する詐欺や詐欺に注意するよう国民に警告している。
最近、ロシア、マレーシア、韓国、サウジアラビアなどの国がCBDCパイロット段階を開発していると大手メディアが報じている。その一方で、日本では、NEXTMONEYの特集記事「日本は国民からの関心の欠如を理由にCBDCプロジェクトをキャンセル」で報じたように、CBDCプロジェクトは失速へと向かっている。