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仮想通貨取引所バイナンスの「BinanceUS」が与える影響とは|日本進出は近い!?
2019年6月2日にバイナンスは分散型取引所(DEX)へのアクセス制限対象国として米国を含む29ケ国を発表。その後6月14日バイナンスは米国の規制に基づいた「Binance US」のローンチを正式に発表した。
この理由の一つは米国は仮想通貨取引に関する規制が明確でないことが大きな要因とされている。
しかし取引所バイナンスはなぜ、「米国の規制当局などから認可されない可能性」があり、一時的ではあるが「バイナンス銘柄の価格下落が発生する」にも関わらず、「Binance us」の立ち上げへと一歩を踏み出したのだろうか。
さらには私たちが住む「日本」での正式なバイナンスの認可は、今後どうなるのだろうか。これまでのバイナンスの歴史とともに、これらのどのようなことが起こり得るのか解説していく。
世界最大の仮想通貨取引所バイナンスとは
世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスは現在、総ユーザー数500万人を誇り、取り扱い通貨数約140種類の中国発の仮想通貨取引所である。誕生は2017年新しいが、バイナンスは驚異の成長を遂げている。
日本国内でも取引を頻繁に行う人はバイナンスの口座を開設している人も多い。世界最大の取引所であるバイナンスの特徴は一旦どういう点にあるのだろうか。
- 手数料がやすい
- 取引通貨が豊富
- 登録が簡単ですぐに取引を始めることができる
バイナンスの手数料は一律0.1%で手数料を気にせず取引が可能だ。また取引所内通貨のバイナンスコイン(BNB)を用いて取引をすると手数料は0,075%まで抑えることができる。国内取引所との大きな違いは約140種類の豊富な通貨と口座開設の手軽さだ。
国内の取引所を開設するにはメールアドレスの登録はもちろんのことパスポートや免許証などの公的な書類が必要となる。
一方でバイナンスは2BTCまでの取引であれば公的な書類の登録は必要ない。
「Binance us」発表は成功?失敗?
果たしてなぜ「Binance US」は設立されたのだろうか。
「Binance US」の設立は必要だったのだろうか。仮想通貨市場の中での米国の立ち位置を考えながら解説する。
バイナンス進出が米国に与える影響
今回の「Binance US」のローンチが行われた理由とその影響を説明していく。まず結論から述べると「Binance US」が設立された理由は「米国の規制に対応すること」である。
米国では仮想通貨が有価証券に当たるのかどうかが議論されており、もし仮想通貨が有価証券と見なされ米証券取引委員会(SEC)に監督下に置かれると、ICOなど仮想通貨取り扱いへの厳しいルールを遵守しなければならない。
このリスクに対応するために「Binance US」は設立された。
米国がもうすぐ、仮想通貨に関する規制を発表する
米国の仮想通貨ユーザー数は世界で一番多く、なんと月間で「2260万人」を超えるユーザーが使用していることが判明している。この大きな米国の市場を逃すことは大きな損失であるため、「Binance US」の設立という形で米国ユーザーの囲い込みを行うことを発表したこととなる。
発表による暴落は一時的なものであるが、仮想通貨という市場が成長する上で、「米国進出」は欠かせない存在なのである。
そして先ほど説明した結論として「米国の規制に対応すること」と書いたが、米国では未だ明確な仮想通貨に関する規制が発表されていない。すなわちバイナンスが正式に米国に進出するきっかけとなった理由は「もうすぐ米国が仮想通貨に関する規制を発表・施行する」可能性があるということである。
仮想通貨市場に与える影響
「Binance US」の設立の発表をした直後にバイナンスは利用規約を変更し、米国にいかなるサービス提供も行わないことを明記した。
その発表から24時間でBNBの価格が8%近く下落している。
この時バイナンスCEOであるCZ氏は「長期的な利益のために短期的な痛みも必要」と述べており、今回の米国進出へポジティブな姿勢を見せている。また、CZ氏はTwitterで「バイナンス運営はBNBを売却していない。」と述べ、運営としてBNBを保持していることからも前向きな姿勢が見られる。
Binance team has not sold a single team BNB. And that graph is way off, btw.
— CZ Binance (@cz_binance) June 14, 2019
BNBは安い手数料や、DEXの立ち上げなどから2019年初と比較すると約450%価格が上昇している。
バイナンスはIEO(Initial Exchange Offering)にも積極的に参加しているため、バイナンスユーザはBNBを保持したいと考えることも価格上昇の要因の一つだ。
バイナンスは正式に日本に進出するのか?
米国についで仮想通貨ユーザーが多いのは日本で、月間610万人となっている。
ユーザー数が一番多い米国の囲い込みを行なったということは日本の囲い込みも今後行う可能性は十分にあるのだろうか。
日本とバイナンスの関係性
そもそも日本とバイナンスの関係性はどのようなものなのだろうか。
実は日本とバイナンスはすでに接触しており、2018年3月23日に金融庁はバイナンスに対して警告を出した。その理由は「日本国内で無許可営業を行なっている」というものである。
引用元:無登録で仮想通貨を交換業を行うものについて(Binance)
この警告を受けたバイナンスが取ることができる道は二つ。
- 日本国内で仮想通貨取引所としての活動をしない
- 仮想通貨交換業者として金融庁に登録する
この結果バイナンスは日本語でのサービスを廃止し、日本国内での仮想通貨取引事業を取りやめた。この回答はすなわち「日本への進出を諦めていない」ということになる。
バイナンスは日本語のサービスを廃止するという選択をとったが、それでも日本人のバイナンス利用者は多い。今後規制のなどの影響で日本独自のルールの遵守が必要になった時バイナンスはユーザーを囲い込むために正式に日本進出を図るだろう。
また最近ではバイナンスが展開を急激に進める証拠金取引(レバレッジ取引)および、BinanceDEX(分散型取引所)において、制限対象国に新たに「日本」を追加していることが判明し、日本の金融庁への対応を慎重に進めていることが分かる。
海外取引所の日本進出
バイナンス以外の海外取引所の動向はどのようになっているのだろうか。
Huobi、coinbase、BitMEXの三つの取引所の日本進出にむけた情報を紹介していく。
Huobiの資本参加によりセキュリティの強化や内部管理体制を整える方針だ。
日本ではCoinbaseを利用することはできませんが、2018年6月に日本支社の設立を発表した。
日本での金融庁により認可を得ようとしており、2019年には間違いなく仮想通貨業者として認可を受けることができると話している。
ビットオーシャンは一般ユーザー向けのサービス提供は行なっておらず、仮想通貨ATMの開発を行なっている企業だ。
とはいえ、金融庁の認可を受けているビットオーシャンの株式取得を目指すということは日本への進出を図っていると言うことができる。
まとめ
ビットコインの価格が100万円を超え、市場が再び盛り上がろうとしている。
この市場の盛り上がりの先にある「規制」に先手を打つようにバイナンスは動いた。長期的な仮想通貨の盛り上がりを考えると、この動きは大きな一歩だ。
その他の仮想通貨取引所も各国に合わせた方針を取っていくことは十分に考えられる。
盛り上がりと規制による収縮を繰り返し仮想通貨市場は大きくなっていくだろう。