仮想通貨マイニングパワーの約33%は「アルトコイン」が占める

アルトコインのマイニングパワー

時価総額上位20位までの仮想通貨分析は、ビットコインマイニングが総電力消費の66%しか占めていないことが分かった。

科学ジャーナルJouleの8月4日号によると、ミュンヘン工科大学の情報学科の研究員ウルリッヒ・ガラースドルファー(Ulrich Gallersdörfer)氏、ミュンヘン工科大学のTUM経営大学院の大学院生であるレナ・クラッセン(Lena Klaaßen)氏、マサチューセッツ工科大学のエネルギー環境政策研究センターとミュンヘン工科大学のエネルギー市場センターで研究を行っているクリスチャンストール(Christian Stoll)氏によって実施された研究報告がまとめられている。3人の研究者によって実施された研究で、ビットコイン(Bitcoin/BTC)マイニングは、時価総額上位20位の総電力使用量と比べ、最大66%しか占められていないことが判明した。

基礎となるアルゴリズム、現在のハッシュレート、および適切なマイニングデバイスに基づき、ビットコインは総エネルギー消費量の2/3を占め、研究されていない仮想通貨は残りの1/3を使用していると結論付けている。十分に研究されていない通貨は、単独でかなりの環境被害を引き起こす可能性があると研究チームは指摘している。

今回の調査では、ハッシュレートとマイニング機器を分析しており、アルトコインの消費電力を決定している。なお、研究対象となったブロックチェーンには、以下の銘柄が含まれている。

イーサリアム(Ethereum/ETH)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash/BCH)、ビットコインシルバー(Bitcoin SV/BSV)、ライトコイン(Litecoin/LTC)、モネロ(Monero/XMR)、ダッシュ(Dash/DASH)、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic/ETC)、ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)、ドージコイン(DogeCoin/DOGE)、ビットコインゴールド(Bitcoin Gold/BTG)、デクレド(Decred/DCR)、レイブンコイン(Ravencoin/RVN)、モナコイン(Monacoin/MONA)、バイトム(Bytom/BTM)、シアコイン(Siacoin/SC)、デジバイト(DigiByte/DGB)、ホライズン(Horizen/ZEN)、コモド(Komodo/KMD)、バイトコイン(Bytecoin/BCN)

マイニングは地球を破壊するのか

研究チームは、仮想通貨マイニングのエネルギー要件が環境保護論者の懸念の原因である一方、多くの研究社は全ての仮想通貨ではなく、ビットコインにのみ焦点を当てていることを強調している。

マイニングの計算集約型検証プロセスでは、所有権とトランザクションについてコンセンサスを得るため、特定のハードウエアと大量の電力が必要だ。

方法論と仮定に応じて、エネルギー消費量の見積もりの方法論は、時間の経過とともにより洗練されてきたが、ビットコインにのみスポットが当てられており、マイニング可能な銘柄は無視されている状況だ。そのため、さらに500銘柄のマイニング可能なコインとトークンが存在し、これらを含める必要があると述べている。

ビットコインを超えた仮想通貨のエネルギー消費を推定する場合、仮想通貨ネットワークと適切なマイニングデバイスのハッシュレートを使用する、KrauseとTolaymat2によって提案された方法を使用し、ハッシュレート処理能力を測定している。「作業証明」と呼ばれるマイニングプロセスでは、ブロックを解決するための1秒あたりの試行回数を示している。

上記グラフでは、時価総額ごとの上位20のマイニング可能な仮想通貨ハッシュレートを示しており、13の異なる作業証明アルゴリズムを使用している。たとえばビットコインは、SHA-256アルゴリズムを使用しており、高度に専門化されたASICベースのデバイスでマイニングできる。GPUは、Moneroのマイニングに使用され、ASICベースのデバイスの検証プロセスを妨げることが可能だ。

ビットコインのパイオニアであるハル・フィニー(Hal Finney)氏は、エネルギー要件により、マイニングには環境破壊が生じる可能性があることを2009年の早い段階で指摘している。これは、アルトコインの誕生以前、Digiconomistによると、現在のビットコインマイニングネットワークの総電力消費量(約63.5テラワット時)は、スイスを含むいくつかの先進国の電力消費量を上回っていたとのこと。

しかし、調査報告書では、エネルギー消費自体、気候変動の問題ではないと述べており、仮想通貨マイニングでは予期しない負荷が発生し、追加のリソースが必要になると述べている。特定の発電資源の全負荷時間の増加は、燃料切り替え効果につながり、局所的な排出強度を変える可能性があり、それによって環境への影響が悪化すると述べている。

マイニングによる環境の永享を考えてみる

エネルギー消費自体は、気候変動の問題ではなく、風力や太陽光などのクリーンな発電リソースは、温室効果ガス(GHG)を排出せずにエネルギーを生成し、大気中の熱を閉じ込め、コストを発生させている。そのため、環境へ影響を及ぼしているのは、そのほとんどが化石燃料資源や石炭とガスなどによるGHG排出の原因とまとめられている。ただし、発生するGHG排出量の詳細な推定値を導き出すには、マイニング作業のそれぞれのフットプリントなどの通貨固有の要因について、さらに調査が必要とのこと。

現在のビットコインマイニングのパワーのほとんどは、すでに再生可能エネルギー源からもたらす電力に依存しており、調査会社のCoinSharesからの2019年12月のレポートによると、ビットコインマイニングの約73%がすでに再生可能エネルギーを利用しているとの調査結果を公表している。

仮想通貨マイニングによるエネルギー消費に対処するため、提案された解決策は、石油採掘中に生成された過剰なガスを電気に変換させるというものだ。現場でコンテナ内にマイニング機器をセットさせることで、パイプラインをセッティングしたり、過剰なガスを廃棄したりする必要がなくなる。また、操業は余剰ガスか石油を電気に変え、動力を供給するだけのため、廃棄されていたエネルギーでマイニングに必要な電力は十分賄えるのではないかと締めくくっている。

環境悪化への原因調査まとめ

ビットコインだけではなく、仮想通貨の環境への影響に関する議論を広げる必要性を示した今回の研究結果発表は、仮想通貨のエネルギー需要と、関連するGHG排出量を評価する際の不確実性に関係なく、十分に研究されていない通貨の見積もりを議論に含めることの重要性を強調している。

根底にあるアルゴリズム、現在のハッシュレート、適切なマイニングデバイスに基づいて、ビットコインは総エネルギー消費量の2/3を占め、研究されていない暗号通貨は残りの1/3を表すと結論付けている。

今回の調査に含まれなかったマイニング可能なコインで使用されているエネルギー消費の割合である1.77%を含めると、エネルギー消費のシェアはさらに増加せざる得ない。今後、環境への影響を全体的に理解することで、政策立案者が仮想通貨やブロックチェーンアプリケーション全般に適切なルールを設定するのにも役立つとみられる。

仮想通貨からの洞察は、急速に成熟しているブロックチェーンアプリケーションにも適用でき、エネルギーセクターでは、ピアツーピアのエネルギー取引から気候変動を緩和するための炭素排出量の管理に至るまで、ブロックチェーンの使用例が増えている仮想通貨から学んだ教訓に基づいて、エネルギーを大量に消費するアルゴリズムとエネルギー効率の高いアルゴリズムを慎重に区別し、詳細と全体像の適切なバランスを見つけることが重要だ。

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はじめまして!仮想通貨やブロックチェーンの国内外の仮想通貨や関連ニュースを通して、ためになる知識をどんどん吸収していきたいと猛勉強中!。 普段は鳥の声さえずる緑豊かな田舎で2児の子供とバタバタしながらの~んびり暮らす、スローライフに憧れるちょっぴりドジな母の一面も。 将来は、田舎に広い庭のある小さなお家に住むぞ~!